日本の若者のASEANへの認知の低さはさることながら、親日国と言われているASEAN諸国の若者も日本に対して関心が低いケースも見受けられるのが現状だ。日本がASEANについて理解を深め、積極的にPRしなければならない段階に来ているのを感じる。
ASEAN各国でASEAN共同体についての認識を高める活動を行っている、「ASEAN Community」の各国若者代表の声をまとめたので、ご紹介しよう。
母国とASEANのリーダーになる
カーン(ミャンマー代表)
Khaing Min Than
<1>ASEAN共同体と母国
ASEAN共同体によってミャンマーのビジネスが拡大。先進国のノウハウを共有することで、ミャンマーが学生が十分な教育を受けられる、魅力的な国となってほしい。
<2>ASEANと日本について
日本には教育と人材育成の支援、ビジネスにおけるノウハウ・技術における協力。災害対策や被災地への援助などを期待し、ASEAN共同体の設立に大いに貢献して欲しい。
<3>将来の夢
私は、母国そしてASEANのために働くことに誇りを感じており、現在運営しているASEAN CommunityのFacebookページに積極的に関わっている。しかしオンラインだけではASEAN共同体設立における問題点は解決せず、ミャンマーに数百人レベルのボランティアグループを設立。もっと次世代の若者のため、母国のため、ASEANのために働き、そして、母国とASEANのリーダーとなっていきたいと思う。
大学で外交を教えて次世代のリーダーを育てたい
レイチェル(フィリピン代表)
Rachel Mary Anne A. Basas
<1>ASEAN共同体と母国
ASEAN共同体によって、ASEAN諸国同士の協力体制が確立され、ノウハウ・文化・伝統・価値観等の共有により相互理解をはかることで、ローカルの人々とりわけ若者の様々な可能性を広げられると思う。
<2>ASEANと日本について
日本の若者がASEAN諸国の若者と協同して社会参加ができる機会を提供してほしい。またそのような活動において、日本政府の積極的な資金提供を望んでいる。例えば草の根レベルの活動の一例として、例えば1泊2日のホームステイプログラムを企画したりすることにより、ASEAN若者の日本に対する理解が深まると思う。
<3>将来の夢
私の夢は私たちの国の仲間たちがASEANの他の国の兄弟たちと明日の世界を作り上げていくのを見ることです。若いころから我が国の人たちは才能がありながらそれを発揮する機会に恵まれていないというフィリピンの現実に直面してきています。このような状況から私は草の根レベルの運動に関心を持ってきました。16歳の時からボランティアで学校にいけない生徒や子供が能力を磨く機会を与える草の根組織に関わってきました。今でもそれは続けています。3年前に、外交、政府、開発の学生たちを教え始めたとき、この道こそが若者たちにどんな困難にも打ち勝って国を愛し、国のために働くリーダーになることを教える早道だと知りました。
対外国のPRの仕事をしたい
アンジェリン(シンガポール代表)
Angeline Marie-Therese
Tan Wen Ping
<1>ASEAN共同体と母国
シンガポールは小国であり、天然資源がないゆえ、ASEAN諸国との協力の重要性を感じでいる。社会・文化における交流だけではなく、特に輸出産業において、経済的連携が必要だと思うし、数年後にはそれが実現することを期待している。
<2>ASEANと日本について
ASEAN統合における各国家における問題解決を促し、現地の人材を上手く活用し積極的に社会活動に参加させる、重要な仲介国としての役割を日本に期待している。
<3>将来の夢
民間や公共部門といった枠にとらわれず、外国関係のPRやコミュニケーションの分野で活躍し、会社や国を発展させて行きたい。そして、すべてにおいてWin-Winの関係を構築出来る様ベストをつくしていきたい。
ASEANを世界中の人たちに知ってもらいたい
ブーン(タイ代表)
Kobchart Jaraswimol
<1>ASEAN共同体と母国
タイでは中間層が急拡大し、世界的に生産国だけではなく、魅力的な消費国となっている。2015年のASEAN経済共同体を機に、ASEAN域内での自由貿易化が進み、さらに域内での取引が活発になり、タイ経済に大きな成長をもたらすだろう。そのためにも他のASEAN諸国との連携が不可欠であるし、これからの将来を担う若者に対して、ASEANについての認知を文化交流活動を通じて高めて行ければと思う。
<2>ASEANと日本について
これから日本の将来を担うエネルギッシュな若者との活発な交流を行うことで、ASEAN諸国は日本の発展の歴史を勉強し相互理解を深め、これからのASEAN共同体の発展に大いにいかしてもらいたい。
<3>将来の夢
現在はタイの大学からオーストラリアの大学に編入し、オーストラリアでASEANについての認知を広める活動を行っている。ASEANを世界中の若者に知ってもらうこと、そしてそれが母国タイの永続的な繁栄をもたらすこと。私がその一翼を担えればと思っている。
先生になって子供たちに地理を教えたい
ダン(ベトナム代表)
Nguyen Hoang Minh Dang
<1>ASEAN共同体と母国
ASEAN共同体はベトナムの発展において重要な役割と果たすだろう。ベトナムが他国そして世界と繋がるチャンスであり、それが国民の生活水準をあげることに繋がる。そしてベトナムがより自国の経済発展および世界的問題解決に貢献出来る様、世界中と協力できるようにより一層努力する姿勢を強めていければと思う。
<2>ASEANと日本
日本にはASEANの学生への交換留学制度・奨学金制度の充実、技術的協力、対ASEANへのODAの拡充、ASEAN諸国と協力し問題解決を行ってもらうことを期待している。
<3>将来の夢
将来は地理の先生になりたい。地理学は非常に面白い科目であるが、ベトナムの学生間では退屈で人気のない科目になっている。そこで私は知識や経験を通じて、地理学を生活に密接に関連した実用的な学問とし、学生に伝えて行きたい。
学校の地理の先生になりたいと人に言うと、給料が安いからやめなさいと言う。私は自分が正しいと思ったことをやり抜くつもりだ。誰も私を変えることはできない。
★前編(ブルネイ・カンボジア・インドネシア・ラオス・マレーシア)の記事はこちら>>https://www.jma2-jp.org/article/jma/k2/categories/479-mh150101