各受賞プロジェクトのご紹介
社団法人 日本マーケティング協会は、優れたマーケティング活動を表彰する『第3回 日本マーケティング大賞 表彰式』を5月24日(火)15:50~16:50、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)にて開催しました。
大賞を受賞した花王㈱の神田博至代表取締役専務執行役員をはじめ、奨励賞4件、地域賞3件を贈呈しました。
日本マーケティング大賞
『「アタックNeo」を中心とした「Neoシリーズ」導入による市場創造』 花王株式会社
受賞理由
2009年に発売された「アタックNeo」に加えて、「ハミングNeo」「ニュービーズNeo」が発売され、「Neo=環境に配慮」というブランドイメージを打ち立てることに成功。圧倒的な技術力・製品力の高さから環境対応を前面に打ち出したコミュニケーション展開までトータルなマーケティング活動の秀逸さに加え、成熟・安定していると目されていた衣料用洗剤市場の再活性化に貢献するなど、高い評価を受けた。
2009年6月に発表した同社の「環境宣言」を具体化した第一弾の戦略商品であるNeoシリーズは、「環境性能に優れた洗剤」とは何かを徹底的に追求し、「すすぎ1回」と「軽量小型化」という結論に基づいて商品化されました。その結果が、消費者に対して新しい洗濯のスタイルを提案することにつながり、環境を意識した生活文化の創造と衣料用洗剤市場の再活性化に貢献した功績は社会的にみても非常に大きいとして高い評価を受けました。商品の斬新さ、社会的なインパクトの強さ、マーケティング戦略の完成度の高さは、大賞にふさわしいとの声が多数ありました。 同社は新しいCIの発表と「いっしょにeco」をテーマにした環境宣言、それに続く環境対応型商品の発表で、消費者だけでなく広く社会に対して社会的なテーマへのコミットメントと志の高さを示すことに成功しています。加えて、Neoシリーズは環境負荷の軽減に代表される社会的価値、洗濯時間の短縮やコンパクト化などの機能的価値、消費者のエコ意識の充足や洗濯時間の軽減などの情緒的価値と、考え抜かれた製品作りはマーケティングの王道をゆくものであるとのコメントもありました。 「アタックNeo」の発売から始まった「Neoシリーズ」導入により、ファブリックケア市場を再活性化し、独創的なポジションを築いています。
大賞受賞スピーチを行う
花王株式会社 代表取締役専務執行役員 神田博至氏
『ライスブレッドクッカー「GOPAN」による市場創造』 三洋電機株式会社
受賞理由
市場創造型製品の爆発的大ヒット
「米食文化の国」の消費者の潜在ニーズを顕在化した市場創造型製品の好例として高い評価を受けました。普通の米粒からパンを作るホームベーカリーというコンセプトを実現させたユニークな技術力と自治体などとのパートナーシップやマスメディアに頼らずにインターネットや試食イベントなどを効果的に活用したプロモーション、覚えやすいネーミングなどが消費者の心を捉え、発売直後から注文が殺到し、爆発的なヒットになりました。米の消費促進や小麦アレルギーへの対応など社会的な面からも注目されています。
クリスタルカップを授受する
三洋電機株式会社 執行役員 柴田康祐氏
『Big Americaをはじめとする高付加価値戦略』 日本マクドナルド株式会社
受賞理由
ブランド価値向上のための積極的な取り組み
アメリカのブランドである同社のアイデンティティを改めて発信する「Big America」「クォーター・パウンダー」などの高付加価値メニューやファーストフードのイメージを覆す「新世代デザイン店舗」「マックカフェ」、ケータイサイトによるeクーポンなど、さまざまな施策を打ち出すことで常に新しい付加価値を提供し、平成22年には5年連続で過去最高売上高を達成しました。特に短期の売上獲得戦術から、連続性・優先順位付け・相乗効果を狙った戦略への転換と業績の好転の実績は非常に高く評価されています。
クリスタルカップを授受する
日本マクドナルド株式会社
マーケティング展開1部 部長 河野辺孝則氏
『電動歯ブラシ「ポケットドルツ」のローンチ』 パナソニック株式会社
受賞理由
ユーザー視点を重視した製品による新市場創造
電動歯ブラシ「ドルツ」を、女性にターゲットを絞ることで「ランチ磨き」という新しい概念と市場を創造し大ヒット商品になりました。若いOLを想定ターゲットにして昼食後のトイレを使用機会と設定、ポーチに入れて持ち運びたくなるような商品のイメージを実現し、製品開発戦略の優れた事例として高い評価を受けました。従来の家電量販店などに限定せずに、ドラックストアなど新たなチャネル開拓を行ったほか、女性誌やウェブなどを積極的に用いて若い女性の爆発的な人気を作り出すことに成功しています。
クリスタルカップを授受する
パナソニック株式会社 AWM本部商品グループ総括 佐藤寿雄氏
『「B-1グランプリ」でまちおこし』 B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会
受賞理由
地域活性化に寄与するマーケティングの実践
多くの地域団体やボランティアによって運営されている「B-1グランプリ」は、地域の食材や名物料理、郷土料理を競うB級グルメの祭典として定着、気軽に楽しめる行楽先として大人気となり、その経済効果は年々飛躍的に増加しています。経営資源の少ない小規模な地方都市の団体が「B級ご当地グルメ」の旗印のもとに連携、結束する事で大きな力を生み出し、地域の活性化に貢献していることは高く評価されています。地域の団体単位で参加するしくみは、これまでにない「まちおこし」運動の姿であるという声がありました。
クリスタルカップを授受する
B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会
事務局長 俵慎一氏
日本マーケティング大賞 地域賞
『博覧会の新しいモデル「平城遷都1300年祭」』 平城遷都1300年記念事業協会
受賞理由
多くの歴史資産を有する奈良県は、平城京が誕生してから1300年の節目の年に当たる2010年、「はじまりの奈良、めぐる感動」をテーマに「平城遷都1300年祭」を開催しました。パビリオン施設などのハコモノに頼り過ぎず、県内各所で感動の「場」と「機会」を提供するイベントを多数開催するなど、地域の「資産活用」と「参加体験」を基本路線に据える事で、博覧会事業の新しい成功モデルを提起しました。従来の博覧会事業では、投資額に対して2~3倍の経済波及効果で成功とされてきましたが、その経済波及効果は約10倍と算定されるなど目標を大幅に上回る実績を残しました。
クリスタルカップを授受する
奈良県知事 荒井正吾氏
『新聞五紙と福岡県下の全高校生による地域活性化』 福岡新聞学校プロジェクト
受賞理由
平成21年11月21日、朝日・毎日・読売・日経新聞の西部版と西日本新聞は、朝刊の全面広告で、高校生から未来への提言を募集しました。福岡県内の全高校生約13万5千人に5紙のいずれかを配布、福岡県内の高校から17,071通の提言が集まりました。この提言をもとに高校生が行政や企業を取材した報告紙面を発行し、昨年2月25日に全高校生に配布しました。このプロジェクトは、普段は競合関係にある5紙が連携することで、新聞や新聞広告の新たな可能性を切り開いたと評価されています。在福新聞5紙を使い県内の高校生全員を対象にすることで、多くの自治体や企業から広告協賛を得ることができたほか、新聞を読まない世代といわれる高校生にアプローチすることに成功しました。
クリスタルカップを授受する
西日本新聞社 執行役員広告局長 行武亨氏
『「コープさっぽろ」における企業ブランド戦略・差異化戦略』 生活協同組合コープさっぽろ
受賞理由
生活協同組合コープさっぽろでは、2006年にそれまでの協同購入事業を宅配事業「コープ宅配システム<トドック>」として再スタートをしました。更に2008年から環境への取り組みを強化、店舗の電気使用量の削減や、回収した廃食用油をバイオディーゼル燃料にして配送トラックに使用、エコセンターでの再資源化の取り組みなどを行っています。CO2排出量を既存店舗より半減させる「環境配慮型新店舗」を札幌市西区にオープンするなど、食品スーパーの低価格化が進む中、消費者の安全や高齢者への配慮、環境への取り組みなどCSR活動を強化し、競合流通業との差別化をはかっています。
クリスタルカップを授受する
生活協同組合コープさっぽろ 専務理事 山口敏文氏
後藤卓也JMA会長と神田博至氏
受賞者を囲んで記念撮影
2010.10月現在
(敬称略)
実行委員長 |
後藤 卓也 |
JMA会長(花王㈱ 顧問) |
実行副委員長 |
嶋口 充輝 |
JMA理事長(法政大学大学院 教授) |
委 員 |
俣木 盾夫 |
JMA副会長(㈱)電通 相談役) |
石原 進 |
JMA副会長(九州旅客鉄道㈱ 代表取締役会長) |
村田 正敏 |
JMA副会長(北海道新聞社 代表取締役社長) |
田井中邦彦 |
JMA理事・関西支部長(㈱電通 顧問) |
石橋 正明 |
JMA専務理事 |
選考委員長 |
角江 慶輔 |
毎日新聞社 執行役員東京本社広告・事業本部長 JMA理事 |
選考副委員長 |
松田 久一 |
㈱JMR生活総合研究所 代表取締役 |
委 員 |
恩藏 直人 |
早稲田大学 商学学術院長兼商学部長・教授 |
古川 一郎 |
一橋大学大学院 商学研究科 教授 |
余田 拓郎 |
慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 教授 |
川上 智子 |
関西大学 商学部 教授 |
廻 洋子 |
淑徳大学 国際コミュニケーション学部 教授 |
岡本 達也 |
味の素㈱ 食品事業本部調味料部マーケティンググル-プ長 |
樺沢 正人 |
㈱NTTドコモ プロモーション部長 |
坂本 桂一 |
ソニーマーケティング㈱ 執行役員 JMA理事 |
髙林 和明 |
東レ㈱ マーケティング企画室長 JMA理事 |
穂苅 雄作 |
㈱電通 ストラテジック・プランニング局局長 JMA理事 |
田中 廣 |
㈱博報堂 執行役員 JMA理事 |
保母 拡一朗 |
日本経済新聞社 クロスメディア営業局局次長 |
円谷 英夫 |
毎日新聞社 東京本社広告局次長 |
運営事務局 |
石橋 正明 |
日本マーケティング協会 専務理事 |
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都丸 幸弘 |
日本マーケティング協会 事務局長 |
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竹中 雄三 |
日本マーケティング協会 研究開発局長 |
細見 幸久 |
日本マーケティング協会 関西支部事務局長 |
佐野 文宏 |
日本マーケティング協会 九州支部事務局長 |
坂口 行男 |
日本マーケティング協会 北海道支部事務局長 |
竹原 聖人 |
日本マーケティング協会 営業企画部長 |
服部 峰郎 |
日本マーケティング協会 研究開発局課長 |
小島 弘雄 |
日本マーケティング協会 関西支部業務推進部主任 |