各受賞プロジェクトのご紹介

公益社団法人 日本マーケティング協会は、優れたマーケティング活動を表彰する『第7回 日本マーケティング大賞 表彰式』を5月26日 (月)15:50~16:50、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)にて開催しました。『「道の駅」による地方創生マーケティング』がマーケティング大賞をを受賞。全国「道の駅」連絡会 会長 本田敏秋氏(遠野市長)が表彰式に。また、大賞のほか、奨励賞、地域賞 全8プロジェクトの受賞式を行いました。

 

日本マーケティング大賞

『「道の駅」による地方創生マーケティング』 全国「道の駅」連絡会

受賞理由

今や地域の活性化に欠かせない社会インフラとなった道の駅は、観光客の集客や雇用機会の創造などの「地方創生」でも大きな期待が寄せられています。現在、日本全国で1,059駅が登録され、年間購買者数は2億1千万人、年間売上高は約2,100億円。旅行者、地域住民、農産物生産者、地方自治体、道路管理者のすべてのステークホルダーがwin-winとなるビジネスモデルは斬新で、まさに日本発のユニークなマーケティング事例となっています。また災害時の防災拠点や地域の観光総合窓口としての活用など、新しい取り組みも始まっています。

一般道路の休憩施設としてはじまった「道の駅」は、1993年の登録開始時は103の施設でスタートしました。以降20年以上にわたり拡大を続け、「道の駅」そのものが観光目的となるほどの集客力を発揮している施設が多数存在しています。そして、生産と購買の関係モデルは地域の活力と雇用を誘発する、いまや地域活性化の切り札として位置付ける地方自治体も存在します。
特に、取り扱う商品やサービス、関係者とのネットワークの組み方など、国や中央組織が指示して管理するのではなく、「休憩」「情報提供」「地域連携」の3つの基本機能を共通フレームとして、あとはそれぞれの地域の自主的な管理に委ねるマネジメント手法は、新しいマーケティング・モデルの可能性を示唆するものであるという声がありました。

すでに登録施設数は1,059となり、スタンプラリーの開催や共通ポイントカード、地域に共通した食材による新商品の開発など道の駅の相互連携も活発となってきています。国と自治体、第3セクター、民間企業、生産者が連携し、運営して成功しているマーケティング・モデルは地域の活性化に寄与しているだけではなく、広く国民に支持されているといえましょう。

 

日本マーケティング大賞 奨励賞

「LINE Creators Market」によるユーザーとの共創ビジネス LINE株式会社

 

受賞理由

ユーザーとのCo-Creationによるビジネスの成功

スマートフォンコミュニケーションアプリ「LINE」内でのコミュニケーションアイテムである「スタンプ」の制作を公募してユーザーの制作意欲と功名心を刺激し、現在、8万種類以上のユニークなスタンプが販売されています。これによって企業とユーザーがともに利益を得るビジネスモデルを実現させ、ユーザーとのCo-Creationによる事業の最も成功した事例となりました。消費者のプロシューマー化を上手く捉えて新しいビジネスを生み出した企画力、LINEのプラットフォーム上で実現させた独自性、大きな社会的ムーブメントを引き起こした実績など、高い評価を受けました。

 

次世代4WINビジネスモデル、RBCおきなわ健康長寿プロジェクト「歩くーぽん」
琉球放送株式会社

 

受賞理由

社会課題解決ビジネスモデルの開発

沖縄県民の健康意識を高めるために、歩くだけでファミリーマートのコーヒーなどが無料でもらえる歩数計アプリ『歩くーぽん』を開発し、テレビを使って積極的なプロモートを行いました。県民の30人にひとりがダウンロードするなど大きな反響を呼び、沖縄県民がこのアプリを使って記録した歩数は13億歩に達するなど健康維持に貢献。一方でファミリーマートの集客にもつながりました。スマホとテレビメディアを活用して社会課題解決をめざす、放送局と流通(コンビニ)によるソーシャルマーケティングの好事例です。

 

人類の抱える課題を解決する新素材ミドリムシの市場創造 株式会社ユーグレナ

 

受賞理由

画期的な素材による新市場創造

食料問題やエネルギー問題、環境問題の解決へ向けた大きなポテンシャルを持つ素材「ミドリムシ」の大量生産化に成功、同時に豊富な栄養素をもち、社会課題を解決する素材として再定義し、食品や流通、自動車メーカーとの間で商品化や共同研究を進めています。コラボ型商品の開発、積極的な広報施策などを行うことで、生活者のミドリムシに対する意識を変えつつあることは、マーケティングの成果として評価されています。

 

妖怪ウォッチ~クロスメディアマーケティングの成功~
妖怪ウォッチ製作委員会代表 株式会社レベルファイブ

 

受賞理由

クロスメディア戦略とそのシステム化

ゲーム、アニメ、テレビ、玩具、音楽、映画と全てのメディアを駆使して一大ブームを起こしたコンテンツ・マーケティングの集大成ともいえる好例です。効果的なクロスメディア戦略とさまざまな分野の企業とのコラボレーション、日本古来から親しまれている「妖怪」や現代の子供たちの等身大の姿を世界観に反映させ大ヒットさせた手法は高い評価を受けています。ゲームソフトシリーズ累計出荷本数740万本以上(DL版含む)、関連書籍1,000万部以上(コミックを含む)、新しいメダル玩具の発売時はニュースで取り上げられるなど社会現象となっています。

 

日本マーケティング大賞 地域賞

宝塚歌劇100周年のマーケティング活動
阪急電鉄株式会社 創遊事業本部歌劇事業部/関西地区

 

受賞理由

宝塚歌劇は1914年4月の宝塚の地での初公演以来、日本の芸能分野において大きな役割を果たしてきました。宝塚歌劇の興行部門を担当する同社歌劇事業部では、100周年の2014年は年始の新聞やテレビなどメディアを通じて積極的なマーケティング活動を展開、宝塚大劇場・東京宝塚劇場の通常公演に加えて、OGが出演する記念公演を実施するなど好調な観客動員を達成し、宝塚歌劇ブランドを全国に発信しています。

 

集客力強化によるテーマパークの再生 ハウステンボス株式会社/九州地区

 

受賞理由

大規模なイルミネーションイベント「光の王国」や園内で季節の花が咲き誇る「花の王国」など、来場者の期待を超える感動を提供するイベントを展開し、ここでしか体験できない「オンリーワン、ナンバーワン」にこだわった戦略を実践しています。顧客満足を高めることで、平成26年は来場者数が約280万人まで増加し過去最高益を記録するなど、この数年間で劇的な経営改善を遂げました。開園当初の方針にとらわれず幅広いターゲットを想定してコンテンツを継続的に充実化させ、入場者数の安定化を実現させています。

 

「山の水族館」を核にした北見市の観光開発 北見市/北海道地区

 

受賞理由

淡水魚を展示する大雪山のふもとの水族館で1978年に開館。2012年に水族館プロデューサーの中村元氏の監修によりリニューアルオープンして以来、地域活性化の中核施設として機能しています。世界初の「川が凍る水槽」や日本初の「滝つぼ水槽」など画期的な取り組みを行っており、改修後の2年間で入館者数50万人を達成しました。また、改修後9ヶ月間の経済波及効果は25億円とする試算結果が発表されています。集客に成功したことで、地域の人口減少や経済縮小傾向に歯止めがかかるなどの効果が出ています。

 

◆日本マーケティング大賞の設立趣旨

当協会は2007年10月の創立50周年を記念して「日本マーケティング大賞」を設立。2009年6月に第一回表彰式をしました。組織における新しいマーケティングやコミュニケーションの手法、もしくはビジネスモデルの開発を積極的に促すことで、社会や消費者の生活の向上と経済・社会の活性化に資する活動を奨励し、マーケティングのプレステージを高めることを目的としています。

対象活動
市場に新しく需要を喚起し、あるいは市場を再活性化した優れた商品もしくはサービス

<対象活動の具体例> 

a 新たなマーケティングの概念を取り入れた活動
b 社会との共存・共生を取り入れた活動
c 日本の伝統文化やサブカルチャーを巧みに取り入れた活動
d ITやソーシャルメディアなどを活用した活動
e 製品やサービスの開発により、市場の閉塞状況を打ち破った活動
f グローバル市場で成果のあった活動
g 新しいビジネスモデルを構築した活動
h 企業間コラボレーションを取り入れた活動
i BtoBマーケティングとして際立った活動
j 規模が小さくても、キラリと光る活動
k その他の優れたマーケティング活動


対象範囲
日本市場における企業・団体・組織の活動、および日本法人の海外市場での活動
(自治体・NPO・大学・病院なども含みます

 

 

2014.10月現在
(敬称略)

実行委員長 後藤 卓也 JMA会長(花王㈱ 前会長
実行副委員長 嶋口 充輝 JMA理事長(慶應義塾大学 名誉教授)
委 員 俣木 盾夫 JMA副会長(㈱)電通 相談役)
石原 進 JMA副会長(九州旅客鉄道㈱ 相談役)
村田 正敏 JMA副会長(北海道新聞社 代表取締役社長) 
内海 朋基 JMA副会長(㈱電通 顧問)
石橋 正明 JMA専務理事

     

選考委員長 高橋 信義 読売新聞東京本社 常務取締役広告担当 JMA理事
選考副委員長 鎌形 太郎 ㈱三菱総合研究所 執行役員プラチナ社会研究センター長
委 員 恩藏  直人 早稲田大学 商学学術院教授
古川 一郎 一橋大学大学院 商学研究科 教授
高岡 美佳 立教大学 経営学部 教授
小野 晃典 慶應義塾大学 商学部 教授
檜垣 歩 花王㈱マーケティング開発部門マーケティングリサーチセンターセンター長 JMA理事
奥澤 勇 花王㈱マーケティング開発部門マーケティングリサーチセンターセンター長 JMA理事
渡辺 和幸 KDDI㈱ コンシューマ事業企画本部コンシューママーケティング1部長
中島 良彦 大日本印刷㈱ コーポレートブランド室 ドットDNP館長
押田 裕一 ㈱テレビ東京 営業局業務推進センター長兼営業推進部部長
廣瀬 哲治 ㈱電通 マーケティングソリューション局専任局長 JMA理事
田中 廣 ㈱博報堂 執行役員 JMA理事
伴野 明 ㈱日立製作所 ブランド・コミュニケーション本部宣伝部長
福田 裕一朗 毎日新聞東京本社 広告局次長
嘉納 亜紀子 ㈱三越伊勢丹ホールディングス 営本部営業政策部 CRM担当部長
杉浦 俊明 森永製菓㈱ 上席執行役員コーポレートコミュニケーション部長 JMA理事
笠原 啓司 読売新聞東京本社 広告局次長兼マーケティング戦略部長

運営事務局 石橋 正明 日本マーケティング協会 専務理事
  都丸 幸弘 日本マーケティング協会 事務局長
  竹中 雄三 日本マーケティング協会 研究開発局長
佐藤 宏 日本マーケティング協会 関西支部事務局長
大坪 満 日本マーケティング協会 九州支部事務局長
坂口 行男 日本マーケティング協会 北海道支部事務局長
竹原 聖人 日本マーケティング協会 営業企画部長
服部 峰郎 日本マーケティング協会 研究開発局課長
小島 弘雄 日本マーケティング協会 関西支部業務推進部課長

 

 

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