各受賞プロジェクトのご紹介

2022年度の優れたマーケティング活動を表彰する「日本マーケティング大賞」選考委員会(選考委員長・近藤豊和 産業経済新聞社 上席執行役員 東京メディア営業局長)は、

第15回日本マーケティング大賞に、推薦プロジェクト総数100件の中から、「スマドリバー渋谷」をグランプリに選出、準グランプリ1件、奨励賞5件、地域賞3件を選びましたので発表します。

 

日本マーケティング大賞
選考基準
総合的に周到なマーケティング計画のもと、市場へのインパクト、独自性、ブランド定着性など、目覚ましい成果を上げたプロジェクトを選考委員会で選定。

飲めない人の視点から新文化創造に挑戦  『スマドリバー渋谷』ローンチプロジェクト
スマドリ株式会社(アサヒビール株式会社と株式会社電通デジタルとの合弁会社)

 

受賞理由

SDGs 時代の新たなマーケティング活動として「社会価値」と「経済価値」を両立することを目指して、「飲めない人+飲まない人」=約 5000 万人を新市場と捉えつつ、“新しい飲酒文化を共創”することに挑戦。
 
そこで、飲める人と飲めない人が極端に「分断」されていることを社会課題に設定し、新しいお酒カルチャーを共創&発信するバー『スマドリバー渋谷』を渋谷センター街にオープンした。
「飲めない自分のままでいい。飲めても飲めなくても、みんな飲みトモ。」をコンセプトに、アルコール分 0%、0.5%、3%の 100 種類以上のドリンクから自分の体質や好みに合ったドリンクを選べるなど、飲めない人のインサイトに徹底的にこだわった店舗設計、メニュー開発、体験設計とした。
 
結果、普段はドリンクの選択肢が圧倒的に少ないという飲めない人が密かに抱えていた不満を解決するだけでなく、お酒を飲む人が、お酒を飲めない人を連れてくるなど、お酒を「飲める」人と「飲まない/飲めない」人が一緒に楽しめる場を創出している。
さらに、適正飲酒啓発活動を渋谷区の一般社団法人渋谷未来デザイン/企業/大学/地域団体と共に推進しており、Z 世代を中心に大きな話題となった。
 
飲めない人はもちろん、飲める人をも動かし、一緒に楽しめる社会へ向けた第一歩を実現。飲まない人の新市場創出に果敢に挑戦した。

 

日本マーケティング大賞 準グランプリ
選考基準
グランプリに準じる成果を上げたプロジェクトを選考委員会で選定。

SNS 活用+製造バリューチェーン DX 化による新商品開発販売スキームの別解創造
Z 世代向け  ライフスタイル提案ブランド「粥粥好日(かゆかゆこうじつ) ®
味の素株式会社・三井物産株式会社・株式会社ドットミー

 

受賞理由

味の素社は、食品業界では日本初となる Z 世代向け事業創出の専任組織を新設。
Z 世代の義憤を起点に D2C 事業を構想し、SNS の AI 予兆分析ツールを活用し、SNS 分析を着想に活かす取り組みを行った。

製造・販売は、三井物産/D2C支援の新会社「.me」(ドットミー)と協業。これにより、大手メーカーとしては異例の速さで、Z 世代向けに、レンジで温めるだけで健康的で本格的な世界の味が楽しめる新感覚カップお粥を中心にライフスタイルブランド「粥粥好日(かゆかゆこうじつ)®」を、EC 及び渋谷POPUP ストアにて新発売した。

また、三井物産/D2C支援の新会社「.me」は、商品開発・原料調達・製造・販売のバリューチェーンのDX 化を可能とし、プロジェクトの推進に大いに貢献した、プロジェクトの推進に大いに貢献した。

 

 

日本マーケティング大賞 奨励賞
選考基準
独自性や先行性、社会課題解決性、新しいマーケティングの芽など、規模は小さいながらもキラリと光るマーケティング・プロジェクトを選考委員会で選定。

共助×DX で地方の未来を創る  ノッカルの挑戦
富山県朝日町・株式会社博報堂

 

受賞理由

富山県朝日町と博報堂は、新しい交通サービスの「ノッカル」を開発した。
ノッカルは、住民の普段のマイカー移動を活用しながら、住民同士の助け合いの気持ちを形にした新しい交通サービス。
 
一般住民がドライバーとなり、マイカーでのお出かけのついでに、近所の移動に困っている人を「乗っけて」移動する仕組みである。運行主体が自治体でありながら、運行管理を地元交通事業者、ドライバーを地域住民が担うため、コストを最小限に抑えられ、過疎地域でも導入しやすい特徴がある。
富山県朝日町で、2020 年から実証実験を開始し、2021 年より正式な町営交通として本格運行をスタート。
高岡市等、他地域への展開も進んでいる。

こうした活動が評価され、グッドデザイン賞など多数を受賞。内閣府の「令和 4 年版高齢社会白書」にも掲載された。

 

みんなで!どう解く?
日本マクドナルド株式会社

 

受賞理由

日本マクドナルド社は、同社が展開する子供・家族向けの「ハッピーセット?」プロモーションで、答えのない道徳の問題を考える絵本のおまけを企画。
ワークショップを開催し子どもたちと考えた問いや答えを一冊にまとめた。
約 1 年にわたって、ツイッター、店内ボード、店内放送などあらゆるマクドナルドのチャンネルを使ったプロモーションを展開。
SNS やテレビなどで大きな話題となった。さらに、絵本を元にしたオリジナル教材を開発・公開。
半年で 1,000 校以上もの小学校で教材を使った授業が実施された。

 

LIFULL HOME'S  「FRIENDLY DOOR」
株式会社LIFULL

 

受賞理由

株式会社 LIFULL は、「住宅弱者問題」に着眼。
LGBTQ、高齢者、外国人、シングルマザーなどの住宅弱者と理解ある不動産会社をつなげるサービス「FRIENDLY  DOOR」を 2019 年に立ち上げた。
「FRIENDLY DOOR」に賛同する不動産会社は、同社のプロモーションにより 2022 年には 4,000 社にまで拡大。
単なるソーシャルアクションとして取り組むのではなく、事業としての収益性や継続性の実現を目指している。
LIFULL は、「あらゆる LIFE を、FULL に」というパーパスを掲げる。

「FRIENDLY DOOR」の事業責任者は、自身が外国籍であり住宅弱者としての経験や思いがあった。事業の拡大には、ブランドパーパスとパーソナルパーパスの合致という側面も見逃せない。

 

伝統の日本酒蔵が挑戦する「体験型」BtoC 事業
梅乃宿酒造株式会社

 

受賞理由

創業 130 年を迎える梅乃宿酒造(奈良県葛城市)が、2022 年 7 月の蔵移転を契機に、従来の酒販店を中心の BtoB の領域を超え、D2C(Direct to Consumer)チャネルを軸とした、一般消費者を対象とする、B2C(Business to Customer)事業への変革にチャレンジした。
特に重要な D2C ビジネスにおいては、「#ワクワクの蔵」というコンセプトのもと、ユーザーとの直接のつながりと体験価値に重点を置いた商品開発や会員プログラムを新たに実施。
初めての B2C 限定商品である「大人の果肉の沼」という果実リキュールでは、従来の果実リキュールの「開発力」×SNS 世代の「映える体験価値」をかけあわせ、味や香り、見え方まで、「ユーザーが手元でいろいろな飲み方を楽しむ」ことを念頭に開発。

結果、SNS でのオーガニックの投稿が 1 万リツイートを超えるなど、従来より若いターゲット層を中心に拡散し、発売から半年たっても、製造即完売の状況が続いている。
その他、各種キャンペーンや商品ローンチを行ったことで、D2C チャネルで初年度から約 2 億円の売上を見込んでいる。

 

「地球の歩き方」コロナ禍で売上 95%減からの V 字回復
株式会社地球の歩き方

 

受賞理由

コロナ感染症による緊急事態宣言の影響で、一時期は売上が 95%減まで落ち込んだ「地球の歩き方」ガイドブックシリーズ。
2022 年に、謎の古代遺跡やオーパーツ、UFO、UMAなど異世界を紹介する「地球の歩き方ムー」を発売し、1 ヵ月で 11 万部の大ヒットを記録。
これ以降も、人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」とタイアップした「地球の歩き方  JOJO  ジョジョの奇妙な冒険」、「世界のお菓子図鑑」など、新しい切り口でのシリーズを発刊することで、V 字回復を遂げた。
出版不況だけでなくコロナによる旅行需要の激減にもかかわらず、V 字回復を果たしたことは、特筆に値する。

「地球の歩き方」は、そもそもは旅先に行く前に買うガイドブックとして強いブランド力を発揮していたが、コロナ以降はテーマを新しい切り口にすることで、読み物としての需要を呼び起こし、新しい層の読者を掘り起こした。

 

日本マーケティング大賞 地域賞
選考基準
優れたマーケティング・プロジェクトであることに加えて、経営資源が地域にあること、地域活性化に資すること、地域の特徴を活かした事業であることが条件。日本マーケティング協会の関西、九州、北海道支部でそれぞれ選考し、実行委員会・選考委員会が承認する。

偶然性で旅の行き先を決める「サイコロきっぷ」プロモーション
西日本旅客鉄道株式会社/関西地区 

 

受賞理由

西日本旅客鉄道株式会社では、スマホアプリによる、1 名(往復)あたり 5,000 円で旅ができる旅行サービスの「サイコロきっぷ」を開発。
アプリ上のサイコロを振り、出目に応じて 7 つの行先がランダムに決定する仕組み。
行先は白浜、城崎温泉、舞鶴、倉敷、芦原温泉、尾道、博多。割引率は 5~8 割で、博多が当たると最大 82%割引。
仲間一緒の旅が可能でエントリー1回につき 6 名までの旅行が可能とした。

目標 20 万人に対して計画比 122%となる「24.4 万人」売上 12 億円を達成。また、調査によれば 49.5%がもともと旅行の計画がなかった、27.3%が他の交通手段を使って旅行する予定だったと答え、売上の約 8 割が新規需要創造だったことが判明した。
また宿泊者が 66%占めることから、地方の宿泊・飲食・土産観光産業等などの経済効果をもたらしたと考えられる。

 

食料廃棄物を釣りえさへ  ECYCLE PROJECT
株式会社電通九州・IMARI株式会社・九州大学/九州地区

 

受賞理由

IMARI 株式会社、九州大学、株式会社電通九州との産学共同プロジェクト。
食料廃棄物(廃棄される魚の頭や骨などのアラなど)を原料とした釣りえさを開発。
フードロスを減少させると共に、海や魚にやさしい釣りを実現。パッケージも従来の釣りえさには無い、人間の食べ物を想起させるデザインで、かつエコな素材を使用。
さまざまな食品系企業とのタイアップも計画しており、2022 年夏にはいかシュウマイで有名な呼子萬坊社のイカの廃棄物を利用した協賛パッケージを販売。海上レストランで子どもたちへの釣りと食育授業を実施。

釣りえさが中心となり ECO な ESA から E(良い)サイクルが生まれる。ECYCLE PROJECT を目指している。

 

創業 6 年の酒蔵が挑戦する「6次産業化地方創生」   
緑丘工房株式会社/北海道地区

 

受賞理由

北海道で戦後初の日本酒の酒造会社を上川町に新設、日本酒として高い評価を得た。
さらに、同町内で、酒造りの他にチーズ工房やホテル経営などを担い町内の活性化に寄与。道内他地域でも帯広では帯広畜産大学と連携、函館では函館高専と連携し、創業から 5 年間で 3 つの新たな酒蔵を創設した。
「大雪山系の雪解け水」という地域の強みを活かした製品作りを通し、町内でしか入手できない限定商品を造るなど地域の交流人口・関係人口の創出に寄与。また上川町以外でも拠点を作って各地域にお
ける人材育成・産業振興ならびに北海道経済・産業の発展を図っている。

造られる日本酒は各種鑑評会で高い評価を得る一方、上川町の他、帯広市・函館市でも地域の学術機関と連携して酒蔵を創設。更にオホーツク地域でも産学官連携した酒蔵を計画、ワイン造りが盛んな余市では産廃として課題だったブドウの絞りかすからブランデーを製造する計画を立てている。

 

第15回日本マーケティング大賞 概要
『『日本マーケティング大賞』は、厳しい経済環境の中でも、企業・自治体・団体等の組織における新しいマーケティングやコミュニケーションの手法、もしくはビジネスモデルの開発を積極的に促すことで、消費者の生活の向上と経済・社会の活性化に資する活動を奨励し、マーケティングのプレステージを高めることを目的として2007年に発表、第1回は2009年より実施されました。15回目となる本年は、日本の市場が成熟化する中で、成長につながる創意工夫が凝らされたプロジェクトが多くエントリー、厳選な審査の中から上記が選出されました。

 

 

 

対象活動

社会に新しく需要を喚起、あるいは市場を再活性した優れたマーケティング活動

<対象活動の具体例>

a 新たにマーケティングの概念を取り入れた企業やNPO、自治体等の活動

b 新しい価値の提案やトレンドを生み出した活動

c 生活者・社会との共存・共生/社会的課題の解決に貢献した活動

d 社内外、産・官・学とのコラボレーションを取り入れた活動、または生活者との共創

e BtoBビジネスや専門市場におけるマーケティングとして際立った活動

f グローバル市場で成果のあった活動

g マーケティングによりブレイクスルーをもたらした活動

h オリジナルな新しいビジネスモデルの構築

i 規模が小さくても、キラリと光る活動

j 地域特性を活かしたマーケティング活動

k 上記以外でも、今年を象徴するに値する新鮮な戦略提案(マーケティング提案)
対象範囲 日本市場における企業・団体・組織の活動、および日本法人の海外市場での活動
(自治体、NPO、大学・病院なども含む)
対象期間 2022年1月1日から2022年12月31日までの企業・自治体・団体の活動
推薦資格 日本マーケティング協会会員および日本マーケティング学会会員(自薦・他薦を含む)
審査方法 選考委員により、推薦資料を基に追加情報を含めて討議を実施し、選定
審査結果 2023年6月19日 「日本マーケティング大賞 表彰式」にて各賞贈呈
選考委員 「日本マーケティング大賞」選考委員会(産業界・学界から14委員)
選考委員長:近藤 豊和(産業経済新聞社 上席執行役員 東京メディア営業局長) 
主  催 公益社団法人 日本マーケティング協会
協  力 日本マーケティング学会
後  援 経済産業省

 

 

2022.9月現在

(敬称略)

 

実行委員長 藤重 貞慶 JMA会長(ライオン㈱ 特別顧問)
実行副委員長 内田 和成 JMA理事長(早稲田大学 名誉教授)
委 員 石井 直 JMA副会長(㈱電通 相談役)
石原 進 JMA副会長(九州旅客鉄道㈱ 特別顧問)
廣瀬 兼三 JMA副会長(北海道新聞社 代表取締役会長) 
辰馬 政夫 JMA副会長(㈱電通 執行役員 関西・中部統括 関西支社長) 
高石 一朝 JMA専務理事

 

選考委員長 近藤 豊和 産業経済新聞社 上席執行役員 東京メディア営業局長
選考副委員長 磯貝 智崇 アビームコンサルティング㈱ CRMセクター長兼執行役員

委 員

 

 

 

 

 

 

 

 

恩藏  直人 早稲田大学 商学学術院 教授
古川 一郎 一橋大学名誉教授、武蔵野大学 経営学部長
里村 卓也 慶應義塾大学 商学部 教授
山下 竜治 朝日新聞社 メディアビジネス局長補佐
清水 二郎 アサヒビール㈱ マーケティング本部 副本部長 執行役員
岡本 達也 味の素㈱ 執行役常務 食品事業本部副事業本部長
白田 健彦 ㈱ADKマーケティング・ソリューションズ 事業役員
メディア&ソリューション統括補佐 EXデザインセンター長
高島 祐一郎 ㈱講談社 販売局局次長 兼 宣伝部部長
岡部 純子 産業経済新聞社 メディア営業局 業務推進部長
望月 良輔 資生堂ジャパン㈱ プレミアムブランド事業本部
プレミアムブランド マーケティング本部 エリクシール・アネッサ
マーケティング部 バイスプレジデント
久保田 哲 ㈱DNPコミュニケーションデザイン 代表取締役社長
鈴木 禎久 ㈱電通 執行役員【JMA 理事】
岩﨑  拓 ㈱博報堂 執行役員【JMA 理事】

 

運営事務局 竹原 聖人 日本マーケティング協会 事務局長
川井 直人 日本マーケティング協会 研究開発局 エグゼクティブコンサルタント
水戸 信之 日本マーケティング協会 関西支部 事務局長
和泉 宏 日本マーケティング協会 九州支部 事務局長   
梶原 仁 日本マーケティング協会 北海道支部 事務局長 
伊藤 梓沙 日本マーケティング協会 業務推進局

 

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