各受賞プロジェクトのご紹介

公益社団法人 日本マーケティング協会は、優れたマーケティング活動を表彰する『第5回 日本マーケティング大賞 表彰式』を5月27日(月)15:50~16:50、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)にて開催しました。大賞を受賞した株式会社トヨタマーケティングジャパンの河本二郎取締役副社長をはじめ各賞の受賞者が参加され、奨励賞4件、地域賞3件を贈呈しました。

 

日本マーケティング大賞

『AQUA SOCIAL FESS!! ~共成長マーケティングへの挑戦~』
株式会社トヨタマーケティングジャパン

 

受賞理由

クルマを買わなくとも参加できる社会貢献と商品プロモーションを結びつけたマーケティング手法を開発実施しました。
クルマを売ることと環境保全を両立させたいという意思に基づき、コミュニケーション手法的にイノベーティブでありながら売り上げという成果もきっちり出しています。
社会性、時代性を備えた、マーケティングの新しい次元を切り開いた点が高く評価されました。

AQUA SOCIAL FESS!! について
AQUA SOCIAL FESS!!(アクアソーシャルフェス)とは世界一、低燃費のトヨタAQUAの車種名に由来する参加型販売キャンペーンのことです。日本全国50ヵ所で水環境を守る活動に参加できるプラットフォームを構築しました。社会、個人、企業の三者がともに成長する関係で無図バレル「共成長マーケティング」を提示しています。
商品を買うことでできるコーズマーケティングとは異なり、商品を買わずとも参加できる。
さらに、(1)FESに参加すると楽しみながら環境が良くなる。(2)環境意識が高まるとAQUAが売れる。(3)AQUAが売れるとCO2排出量が減る。(4)CO2が減るとさらに環境が良くなる。といった、社会・企業・個人がともに成長する“共成長マーケティング”を提唱・実践し、実際に商品の売り上げを日本一に押し上げたのです。
AQUA SOCIAL FES!! は2012年日本全国47都道府県50ヵ所で開催、のべ1万人以上が参加。参加者の年齢平均は29.5歳です。AQUA販売台数は2012年累計で266,567台(国内新車販売台数年間2位)。さらに、12年10~12月はそれまで16ヵ月連続首位のプリウスを抜いて日本一になりました。
これからの社会のためになり、かつ確かな販促の成果を上げている事実が、マーケティング手法の革新性を示しているといえます。

 

日本マーケティング大賞 奨励賞

『「JINS PC」など機能性メガネ市場の創出』 株式会社ジェイアイエヌ

 

受賞理由

機能性メガネというカテゴリーを創出、縮小傾向の市場を活性化

メガネ市場における新カテゴリーである「機能性アイウェア」の提案が評価されました。ブルーライトから目を守る現代人の生活必需品として、「パソコンするなら、JINS PC」という新習慣が定着しつつあります。縮小傾向のメガネ市場において、「機能性」という新しい価値を加えることで、メガネをかけているひとだけでなく、今までメガネをかけたことのない人が持つ潜在的需要を喚起し、市場を再活性化させました。

 

『雑誌出版のマーケティング・イノベーション』 株式会社宝島社

 

受賞理由

雑誌市場において全社でマーケティングに取り組んだイノベーション

競争の激しい女性雑誌において、各カテゴリーのナンバー1を目指す「一番誌戦略」を2007年から掲げて強力に遂行し、大きな成果を挙げました。その成功を支えているのが全社的なマーケティング体制。社長も含めた全社スタッフによるマーケティング会議を設置、徹底的な顧客満足中心主義を実行しています。
雑誌コンテンツと位置づけ、自ら企画・製造するファッショングッズの付録や柔軟な価格戦略はこれまでの雑誌出版に革命をもたらしました。加えて企業や他メディアとのコラボレーションの実施、本屋店頭の点愛店舗、宝島社書店のオープン、2012年には「東京ミュージック花火」も実施しました。

 

『ベビー用品事業における中国市場の開拓と拡大』  ピジョン株式会社

 

受賞理由

参入の難しい中国市場におけるブランド構築

「どの国も乳児が母乳を飲むしくみは変わらない」を基本に、日本と共通の哺乳瓶を世界展開。
富裕層をターゲットに哺乳瓶におけるブランディングを推進、子どもに関連する事業展開の拡大をめざしています。中国市場攻略として1万5千m店近くのベビー用品専門販路を中核に、さらに中国政府施策「母乳育児推進及び母乳授乳率を高める製作」に対応。中国衛生部のパートナー企業として、中国善と30省40ヵ所以上の病院に「ビジョン母乳相談室」を開設。
「哺乳瓶で信頼を得て周辺商品に広げる」戦略により、保湿クリーム、母親用うがい薬などで大きく販売を拡大しました。

 

『「マルちゃん正麺」による即席袋麺市場の活性化』 東洋水産株式会社

 

受賞理由

成熟した袋麺市場における商品開発イノベーション

袋麺市場は、乾麺と生麺による二極状態のまま約40年にわたってダウントレンドにありました。そんな中、チャレンジを決意した東洋水産は、メインターゲットである主婦層のウォンツが、乾麺の経済的保存性、生麺の本格的品質感の両立、つまり「「生麺風雨即席麺」にあることを発見したのです。5年間の研究期間を経て「生麺はうまいまま製法」の開発に成功。
発売までには社内横断チームを結成し、「マルちゃん正麺」というネーミング。金色のパッケージ、流通関係者を対象とした大規模な商品発表会、「うそだと思ったら食べてください」の台詞が有名になったCM投入により、袋麺カテゴリー全体を底上げするほどのヒット商品に育てました。
業界ではマルちゃんショックと呼ばれる反響を生んでいます。

 

日本マーケティング大賞 地域賞

『新プレミアムブランド「バトンドール」の展開』
江崎グリコ株式会社/関西地区

 

受賞理由

ロングセラーブランド「ポッキー」をもとに百貨店専門売り場向けの新しいブランド「バトンドール」を開発して、高島屋大阪店と阪急うめだ本店のデパ地下に同盟のスイーツショップを出店し、デパ地下のお客さんにも喜んでもらえる、おもてなしスーツ市場に参入しました。デパ地下の看板売場として毎日行列が途切れないほどの人気を集め、同社は新しい顧客の開拓に成功しました。

 

『「熊本県営業部長 くまもん」を起用したPR展開』
熊本県庁/九州地区

 

受賞理由

九州新幹線の全線開通を契機に熊本県のPRキャラクターとして誕生した「くまモン」は、地域の魅力を再発見し、多くの人に伝えていく「くまもとサプライズ」を県内外に広めていくことを目的に神出鬼没の活躍を続けています。ご当地キャラクターでありながら、大手食品メーカーと連携して熊本の食材を使った商品開発を行ったり、熊本県の許可があればロゴとキャラクターを無料で利用できるようにするなどして、熊本県の認知度やイメージ向上に貢献しています。

 

『Facebook「北海道Likers」による地域活性化』
サッポロビール株式会社/北海道地区

 

受賞理由

「北海道Likers」は、北海道の魅力を日本語、英語、中国語で国内外に発信するFacebookサイトで、同社がふるさとに北海道を応援するプロジェクトとして2012年4月に開設しました。開設後9ヵ月で獲得したファン数は75万8千人、そのうち英語版31万2千人、中国語版24万3千人と、獲得ファン数は2012年度解説のFacebookサイトとしては最大級です。道内在住のライター、カメラマンといった運営パートナーろのネットワークも成功の要因です。サイトで紹介された北海道の製品で完売したものが多数あらわれるなど、地域の発展に貢献するビジネスモデルとして注目されています。

 

◆日本マーケティング大賞の設立趣旨

当協会は2007年10月の創立50周年を記念して「日本マーケティング大賞」を設立。2009年6月に第一回表彰式をしました。組織における新しいマーケティングやコミュニケーションの手法、もしくはビジネスモデルの開発を積極的に促すことで、社会や消費者の生活の向上と経済・社会の活性化に資する活動を奨励し、マーケティングのプレステージを高めることを目的としています。

対象活動
市場に新しく需要を喚起し、あるいは市場を再活性化した優れた商品もしくはサービス

<対象活動の具体例> 

a 新たなマーケティングの概念を取り入れたプロジェクト
b 社会との新たな共存・共生をしたプロジェクト
c 日本文化・社会性を巧みに取り入れたプロジェクト
d デジタル・ソーシャルメディアなどを活用した新たなコミュニケーション手法
e 市場の閉塞状況を打ち破った製品・サービス開発
f グローバルマーケティングの深耕による海外事業プロジェクト
g 新しいビジネスモデルのプロジェクト
h 企業間コラボレーションなどの新手法を採り入れたプロジェクト
i BtoBビジネスに新機軸を開くプロジェクト
j 規模の大小に拘らず、小さくてもキラリと光るマーケティング
k その他のマーケティング活動

対象範囲
日本市場における企業・団体・組織の活動、および日本法人の海外市場での活動
(自治体・NPO・大学・病院なども含みます

 

 

2012.10月現在
(敬称略)

実行委員長 後藤 卓也 JMA会長(花王㈱ 前会長
実行副委員長 嶋口 充輝 JMA理事長(慶應義塾大学 名誉教授)
委 員 俣木 盾夫 JMA副会長(㈱)電通 相談役)
石原 進 JMA副会長(九州旅客鉄道㈱ 取締役会長)
村田 正敏 JMA副会長(北海道新聞社 代表取締役社長) 
内海 朋基 JMA理事・関西支部長(㈱電通 取締役常務執行役員関西支社長)
石橋 正明 JMA専務理事

選考委員長 外山 衆司 産業経済新聞社 専務取締役 
選考副委員長 吉田 就彦 ㈱ヒットコンテンツ研究所 代表取締役社長
委 員 恩藏  直人 早稲田大学 商学学術院教授 兼 商学部教授
古川 一郎 一橋大学大学院 商学研究科 教授
竹内 淑恵 法政大学 経営学部 教授
新井 範子 上智大学 経済学部 教授
竹村 正明 明治大学 商学部 准教授
伊井 雅明 朝日新聞社 東京広告局長補佐
泉  孝治 キッコーマン食品㈱ プロダクトマネジャー室宣伝グループ
岩村 水樹 グーグル㈱ 執行役員マーケティング本部
廣瀬 千秋 産業経済新聞社 営業局総務
平間 陽一郎 ソニーマーケティング゙㈱ 量販営業本部 副本部長 JMA理事
栗坂 達郎 ソフトバンクモバイル㈱ 執行役員マーケティング本部 本部長
土橋 代幸 ㈱トヨタマーケティングジャパン 取締役 JMA理事
松原 靖広 ㈱電通 ビジネス・クリエーション局長 JMA理事
田中 廣 ㈱博報堂 執行役員 JMA理事
須藤 宏行 ㈱三越伊勢丹 営業本部 営業政策部 顧客政策担当部長

運営事務局 石橋 正明 日本マーケティング協会 専務理事
  都丸 幸弘 日本マーケティング協会 事務局長
  竹中 雄三 日本マーケティング協会 研究開発局長
細見 幸久 日本マーケティング協会 関西支部事務局長
佐野 文宏 日本マーケティング協会 九州支部事務局長
坂口 行男 日本マーケティング協会 北海道支部事務局長
竹原 聖人 日本マーケティング協会 営業企画部長
服部 峰郎 日本マーケティング協会 研究開発局課長
小島 弘雄 日本マーケティング協会 関西支部業務推進部課長

 

 

トップに戻る