ライフスタイル

ライフスタイル (38)

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2021年9月号『子どもドリブン:未来に挑む企業の芽』に記載された内容です。)

本荘 小室さんがこのテーマに向き合い始めたころ、おそらく惨憺たる状況だったのではと想像しますが、どうやってここまで前進してきたのでしょう。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2021年7月号『制約上等!』に記載された内容です。)

 常日頃感じている事がある。やりたいことに対しての多少の負荷は工夫や発想を産み出し自分の力だけでは辿り着かなかった場所にのし上げてくれているのだと。例えるなら不条理な敵と戦うたびに徐々に強くなっていく少年漫画のようでもある。

負荷とはおそらく様々な形の制約であるともいえる。ネガティブなイメージを持たれやすい制約という言葉。しかし実力にブーストをかけるものと定義すると、さてどうだろう。その先に想像を超えた展開が開けると思うとワクワクしてはこないだろうか。

2021年現在、コロナ禍という制約がほぼ全ての人にかかっている。それ以外にも常日頃から人それぞれ色々な制約があるものだ。制約というのはバラエティに富んでいる。

さて今、私にかかっている「制約」とは改めて何があるのだろうか。「フリーランス」「地方移住」「飲食兼業」「在宅ワーク」「育児」・・・思いつくまま並べてみた。私自身の制約もなかなかにバラエティに富んでいる。そのどれもが様々な方向から私にブーストをかけてくれている。僭越ながら少しばかり紹介させて頂こうと思う。

 


vs見知らぬ土地で起業


 

美術大学卒業後、都内某精密機器メーカーのデザインセンターに勤務しながら友人たちとデザインユニットを組み、自主的に作品を作るなどデザインにどっぷり浸かっていた20代。30代に差し掛かった頃、三重県四日市市に結婚を機に移住。勤務していたメーカーも本当なら辞めたくなかった。それほどまでにデザインの仕事もそれを取り巻く自身の環境も好きだった。

今ならばテレワークも一般化されているが、その当時はほぼ無いに等しかった。そしてフリーランスになると同時に人生ひっくり返ったかの如く変化に飛び込むこととなった。移住した先には一人も知人が居らず、フリーランスデザイナーとして始めようとも仕事のあてもない。パートナーが新規開店した飲食店に立つことになるが、接客経験など学生時代のアルバイト以来の超素人。

見方によっては絶望的状況ではある。果たしてデザインの仕事はできるのか?そもそも店は上手くいくのか?知り合いはどうやって作るのか?ヒントも答えもどこにもない。どうしたらよいのか、と途方に暮れた。突然の「二足の草鞋(どっちも手探り)」状態なのである。

だが、視点を変えるとどうだろう。ここではしがらみもなく自分の設計図で道を切り開くことができるのだ。問題はしがらみもないが、仕事で重要な繋がりもないことなのである。再度どうしたらよいのか、が噴出する。

その答えは身近に潜んでいた。現在はそう珍しい事ではなくなったが、その当時はあまり見られなかった副業や兼業。私はその時「飲食」と「デザイン」を兼業していた事により現状を打破する術を見つけることが出来た。仕事を受注する上で重要な「人との繋がりと信頼関係」と「需要の把握」。自らがデザインを手がけた店内でお客様との会話を通して自身の作品や考え方を知ってもらい、会話の中から需要を拾い、提案する事ができた。

一見無関係に見えるデザインと飲食の兼業。それがあったからこそ、今の仕事につながる地盤を整えることに成功した。一つを起点として少しずつ、仕事が繋がり出していくのだ。飲食店を兼業していたそのおかげで見知らぬ土地での出会いのキッカケがあった。結果的に自分の現在の環境における仕事の進め方を手にする事ができた。履き慣れない二足の草鞋が生み出した奇跡の一つである。

 


vs育児



その後出産を経て新たな生活に突入した。私にとって三足目の草鞋である「育児」である。多くの親となった人が経験してきた道だが決して甘いものではない、とにかくこれは大きな環境変化なのだ。あり得ないほど自分の時間がなくなり、睡眠は細切れ。店は事務経理及び裏方を担当する事とし、夜中まで仕事をするパートナーは、ほとんど家に居ない。早朝から深夜まで一人で子供にひたすら向き合う日々となった。

このような状況になり、何かを変えなければ仕事ができない状況下で改めてデザインの仕事が好きだという事を自覚することができたのは大きな収穫だった。慣れてしまい渇望することを忘れていたが「そうか!私はデザインが好きだったのだ」とはっきりと自覚する事ができた。

そこでどうやっていこうかと実践に移すこととなる。在宅のフリーランスであるからこそ、途切れ途切れに訪れる限られた自分の時間を駆使する事が可能だと気づけた事も大きい。体力的に厳しい事もあったが、私にとってはやりたいことができないという事の方がよっぽど精神的にダメージが大きいという事実を知る。

その結果どうにかして限られた時間をやりくりする術(多方面に渡り、かつ長文となってしまうので割愛させていただく)や断続的な時間での作業方法を身につける事ができた。これは後々も役にたつ「効率化」にも繋がる大きな収穫だった。

 


vsコロナ



数年かけて三足の草鞋も何とか履きこなせてきたと思った矢先、未曾有の感染症による飲食店への大打撃が襲いかかってきた。細かい事やそれに対する思いは省略するとして、とにもかくにもこれはまずい。もちろん命が一番大事だ。しかしこのままでは店が潰れる、生活が経済的に破綻してしまう。近隣の他のお店も同じくだ。The大ピンチ。

そんな時、デザインの力が役に立つのでは、と周りが気づき始めてきた。テイクアウトの案内、感染症対策の店内表示、はたまたホームページやweb shopなど、近隣のお店や企業からの依頼が続発する事態が訪れたのだ。またそれを支援するかの如く助成金なども立ち上がり始め、それをキッカケとして近隣店舗や企業は今まで手付かずだったデザイン面でのアプローチへ手を伸ばし始めてくれたのである。

その結果、飲食店は要請に基づき時短となったり、休業したりと不安定な日々が続いているが、デザイン業は引き続き、近隣のクライアントさんの「コロナ禍に対する新しいアプローチ」に関するお仕事を頂けている。

また、自身の店舗のある商店街の活性化を目的とした企画が立ち上がり、そこにデザインとして協力する機会にも恵まれたのもこのコロナ禍ならではだ。往来の減った商店街での安心安全を保持した新しい試み、新しい動き。デザインの力とそれによって強化されるブランディングは窮地に陥った飲食店や商店街にもブーストをかけられる可能性がある。

ありがたいことにここにきて「街の、皆の、役に立っている」と感じる事ができた。それは移住当初から目指していた目標であり、まさかのコロナ禍という制約において、手が届くことになった。

以上がそんな今の自分を形成したこのとりとめのない経験談である。いくつかの制約が想像以上のブーストとなり思いもよらぬ展開や成長となったいくつかの事例。それがお読みいただいた方のほんの数人であっても、制約への捉え方がポジティブなものへと少しでも変わったのならば幸せだ。

自分の想像で切り開ける道は、あくまで「知っている」道でしかない。制約というブーストによって想像を超えて、時には手の届かなかった目標に、ぐんと近づく事もできる。全ては個人個人の捉え方次第ではあるが、せっかくなら見た事のない世界を見る為に、その壁を乗り越えるべく動き出してみるのもオススメだ。

図表 《クリックして拡大》

 

岡本 亜希  (おかもと あき)
veloデザイン製作所代表/wine&kitchen velo経営。デザイナー。埼玉県さいたま市出身。美術大学卒業後精密機器メーカーインハウスデザイナーを経て2013年夏、三重県四日市市に移住。現在飲食店経営兼フリーランスデザイナー兼1児の母。通常業務に加え、店舗のある商店街を中心に地域貢献、活性化を目指しデザインスキルを活かして活動中。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2021年5月号『土地の地力 魅力度ランキングかい? 実はすごいぞ群馬県』に記載された内容です。)


退職率35%、平均年齢58歳だった旅館が変われたきっかけ


 

「先輩たちが、人によって教えることがバラバラで、その人のやり方と違うと怒られる」これは今から約10年前、1年足らずで辞めてしまった新入社員に言われた言葉だ。親の代から引き継いだ旅館業。熱意を持って取り組んできたのだが、半年間で85人いたスタッフのうち30人が辞め、従業員の高齢化も進んでいたこともあり、倒産すると噂になるくらい悲壮感が漂う宿だった。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2021年4月号『なんとなく欲望の行方』に記載された内容です。)


水面下から地上へ、動き出す50代の欲望


 

この1年を振り返ると、コロナ禍の巣ごもりで、生活者の消費意欲が減退したことは言うまでもない。しかし、春の訪れとともに次第に気持ちは緩み始め、2度に渡る緊急事態宣言もなんのその、街は結構な人で溢れている。我慢してきた消費の糸が今すぐにでも切れそうだ。そんな中、一番最初に動き出しそうな50代女子に絞って「この先の欲望の行方」を探ってみた。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2021年1月号『新型でいこう』に記載された内容です。)

新型コロナウイルス感染拡大によって、3密回避、在宅勤務の推奨など、「人が集まること」に制限がうまれた。そのため、「リアル(対面)」の価値を再認識する機会となっている。日常のリアルはどのような状況になっているのか、体験的に書いてみたい。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2021年1月号『新型でいこう』に記載された内容です。)


新型という言葉のイメージ変化


 

2020年はコロナ禍に始まりコロナ禍で終わる一年であった。今回のコロナは新型コロナと呼ばれ、「新型」という言葉自体が何やら得体のしれない不気味な感覚を覚えるものである。しかしながら本来は「新型」は「得体の知れない不気味な概念」ではなく、「新たな機能や楽しみを持ったワクワク概念」であったはずである。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2020年10月号『アートが変える!』に記載された内容です。)

ビジネスにアート。「アート思考」というのが、最近流行っているらしい。私は今までいわゆる「ビジネス」の世界で働いた経験がないが、「アート」の世界なら渦中で研究し、文章を書き、あるいは創作し、踊ったりもしていたので、今回も何かヒントになるようなことが書けるかもしれない。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2020年7月号『根力と軸行力』に記載された内容です。)

コロナウイルスが人間社会を揺るがしている。 私はシンクタンク勤務を3月に終えて、4月から新たな職場(不二製油グループ本社と立教大学)に移ったが、職場の空気を知ることもなく、すべてオンラインで自宅にいながらの新たな二足の草鞋生活となってしまった。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2020年2月号『交通起点の市場をつくる』に記載された内容です。)


成熟化社会、安定成長時代を迎えた昨今でも、駅を中心とした街づくり、都市更新を実施することにより潜在化していたポテンシャルを顕在化し、都市の価値を高めた街が都市間競争、沿線間競争に打ち勝とうとしている。更に人口減少、高齢化社会とIoTビジネス、AIに対応した都市モデルが勝ち組になっていくのだ。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2020年5月号『素晴らしい普通』に記載された内容です。)


あえてインパクトを追求しない「普通の建築」

昨今、話題となる建築はとにかくインパクトのあるものが多い。日本でもSMAPが出演するCMで話題になったシンガポールのマリーナベイ・サンズ(モシェ・サフディ、2010年)はその代表例ではないか。個性的な建築が集客など事業を行う上で大切なことは理解している。一方で、長く愛されることや、町並みとの調和を目的とした少し違う視点から「普通の建築」を取り上げてみたい。

トップに戻る