潜在価値開発Ⓡ 従来のマーケティング原理を超越する ②

消費者インサイト論を超えて
-潜在価値情報は消費者インサイトを破壊する


前号で述べたようにデジタルマーケティングが進展すればするほど、よりコンテンツの開発が求められるだろうが、その時にまた注目が集まるのが「消費者インサイト」ということになる。


消費者インサイトとは、言い換えれば消費者の意識構造ということであり、もっと直接的に言えば、商品・サービスの評価構造ということである。これは、消費者の購入行動やネット上の行動(サイト訪問・検索など)のように目に見えるものではなく、消費者リサーチなどによって深堀しないかぎり把握しようもないものである。


では、リサーチ等によってこの消費者インサイトがわかれば、効果的なコンテンツ開発はできるのか。私は、それだけでは有効なコンテンツ開発ができないと考えている。


なぜなら、消費者のインサイト(意識構造・評価構造)とは極めて曖昧なもので、簡単に変化するものだからである。マーケティング戦略家として、リサーチを通じて長く消費者と向き合ってきた私にはそのことが身に染みてわかっている。そして、潜在価値開発 ® 理論を開発して 10 年、この理論と方法で消費者の反応を見ているとよりその確信が強くなっている。


消費者インサイトを把握して、その意識構造に合わせるということは、曖昧模糊とした脆弱なものをベースにするということである。もしそれによって一時期成果を上げても、消費者意識は簡単に変化するものであるから、効果はすぐ低減してしまう。


そこで必要なアプローチは、曖昧模糊とした意識構造を確固とした意識構造に変化させ、ヘビーユーザーの意識構造にすることである。極端に言うと、従来の顧客の意識構造を破壊し、まったく別のものに変えてしまうのである。実際、潜在価値開発をした情報による顧客の態度変容率は大体90%である。


顧客の意識構造を根底から破壊し、別の確固としたヘビーユーザーの意識構造をつくること。それが「潜在価値開発」の狙いなのである。消費者の意識が確固たるものになれば、その消費者はその商品・サービスのヘビーユーザー(優良顧客)となるからである。


ヘビーユーザーとなる意識構造
-マーケティングのゴール


ヘビーユーザーとなる意識構造をつくることが潜在価値開発のゴールであり、それはマーケティングの究極のゴールであると思う。


へビーユーザーの意識構造とは
「①問題認識:問題の重要性の認識をしている」
「②カテゴリー:問題解決手段としてのカテゴリーの優位性を認識している」
「③コーポレート:提供企業を信頼している」
「④プロダクト:商品・サービスの優位性を理解している」
の 4 つの階層からなり、その階層毎に、上記のような意識を実現していることが必要である。


例えば、前職の企業の商品「ヤクルト」を例にすると、
「①問題認識:腸の健康が健康にとって重要な問題である」
「②カテゴリー:腸の健康を維持するのに、乳酸菌飲料が最適なカテゴリーである」
「③コーポレート:ヤクルト本社は乳酸菌研究の第一人者である」
「④プロダクト:ヤクルトは腸の健康を維持する機能の高い商品である」
というような意識構造である。


そして、それを実現するための情報仮説を開発するのが、「潜在価値開発」なのである。


潜在価値とはなにか
潜在価値とは、「①埋もれてしまっている企業の強み:潜在化した差別的優位性」、「②顧客の気づいていない問題:潜在問題」の2つである。


商品の機能・顧客などは、すでにわかっている顕在価値であるが、潜在化した差別的優位性とは、顕在化している優位性を生み出している根源といってもよい。それを創り出してきた創業者・理念・歴史・開発の発想・開発ストーリー・販売の発想・品質管理基準・組織原理などが潜在的価値である。


これらは通常、差別的優位性になるとはあまり考えられていないが、実際に消費者の評価を取ると顕在価値以上に消費者の心を動かすのである。そして、これらを広告等のコミュニケーションに活用すると劇的な効果が出るのである。


潜在問題とは、どんな業界にも存在しているが気づいていない問題である。顧客の中で無意識化している問題である。問題は 3 つに分かれる。顕在問題、カテゴリーの潜在問題、カテゴリーを超えた潜在問題である。


化粧品を例にとると、顕在問題とは、乾燥・シミ・しわなど顧客が明確に認識している問題である。そしてカテゴリーの潜在問題とは、「自分の肌のことが本当はわからない」、「自分のスキンケアは本当にこれでいいのか」、「もっと自分に合った化粧品が他にあるのではないか」という、より顧客の心理の奥にあるものである。


そして、カテゴリーを超えた潜在問題とは、どんなカテゴリーにも共通する顧客の潜在問題、潜在ニーズである。それは「自分のことをよくわかっているプロフェッショナルにすべてを任せたい」ということである。これらの潜在問題は、今までどの企業も気づいておらず、対応していないものであり、新たなビジネスチャンスとなるものである。


この 2 つは、今まで埋もれていた潜在情報であり、他社と競合しない企業の差別的優位性を創りだす大きな源泉となるものである。特に①の埋もれている企業の強み、これを抽出することは重要である。ここはほとんど今まで意識されていなかった問題であり、私の今までのコンサルティングの経験上、どんな企業にも必ず存在しているものだからである。


このような独自の視点に立ち、社員や顧客のディープな潜在価値開発インタビューを行い、ヘビーユーザーの意識構造を創り出す潜在情報を抽出し、開発をするのが「潜在価値開発」なのである。


前回と今回で「潜在価値開発」の目指しているものと根本発想をお話しさせていただいた。紙面も限られていることもあり、どうやってやるのか、という具体的な方法はお話しできなかった。


もし潜在価値開発のより詳しい内容が知りたいというご要望があれば、当社主催のセミナーへご参加いただければと思う。また「潜在価値開発」についての書籍を本年8月に出版予定なので、そちらもご参照いただければと思う。


潜在価値開発Ⓡ 従来のマーケティング原理を超越する ①をご覧になりたい方はこちら
https://www.jma2-jp.org/article/jma/k2/categories/429-mh1805ad


平野 淳(ひらの きよし)
元ヤクルト本社広告部長。1981年、ヤクルト本社入社、一貫してマーケティングを担当する。その中で、独自のビジネス理論である「潜在価値開発Ⓡ」理論を開発し、数々のプロジェクトを成功させる。2013年ビモクリを創業。独自理論をベースに大企業を中心に顧客が確実に成果をあげるマーケティングコンサルティング​を提供している。
【お問い合わせ先】
株式会社ビモクリ
東京都港区南青山3-1-3  スプライン青山東急ビル6F
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電話:03-4577-8999(代表)
HP:http://bimocre.com/

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