中国におけるオリジナルIP(原作)開発の主戦場

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2018年7月号『創る中国:文化・エンタテインメント編』に記載された内容です。)

Web小説のプラットホームとして創業されたこの会社は、作家とプラットホーム側が読者の課金料金をシェアすることで、お互いの収益に寄与し爆発的に発展してきました。

2005、6年の頃からです。そんなWeb小説は、サラリーマンが暇な時にちょっとスマホで見るといったニーズが好評となり、どんどんユーザーを増やしていきました。現在は大きなIT企業グループの傘下に入り、数百万の作家のWeb小説を提供するプラットホームへと成長しました。中国のベストセラー作家10名の内9名が、我々のWebプラットホームを活用する作家になっています。


中国のWeb小説は、長いということが特徴で、数百万文字以上のものが多く、ジャンルもファンタジーやタイムスリップもの、恋愛小説と様々なジャンルに及んでいます。


基本的には、スマホを手にする若者がターゲットで、そんなユーザーに支えられて出てくるメガヒットのWeb小説から、アニメドラマや実写ドラマ、映画、GAME、漫画、マーチャンダイズと展開していっているものが多くあります。


我々のプラットホームでは、当初小説を書くことが好きな人が趣味で書いていたものが多かったのですが、その後、それらの中から人気の小説が出てきて、そんな小説に課金するビジネスモデルを導入したことで、一挙に作家としてプロになるような人が現れました。


それらの小説を原作として、コンテンツ化されることでIPができ、それが他のコンテンツとしても広がっていっています。これまでは、中国の時代劇の設定によるファンタジーやバトルものが人気でしたが、これからはそのジャンルも広くなり、現代ものの話が多くなるのではないかと考えています。そんなテーマで小説を書いている新しい作家も多くなってきました。


アニメはWeb小説との親和性が高いことから、IP化されたものはコンテンツとしてアニメになることが多いのですが、今は、最新の3Dアニメの技術を使ったバトルものが人気です。3Dは実写と非常に親和性があるので、実写と3Dの融合も今後のテーマになっていくかもしれません。


創る中国の背景としては、コンテンツマーケットが成長してきていることがあり、その成長に伴って中国人のストーリーが欲されていることが多いと思います。


国自体も発展し、その成長に伴って、内包されている願望や自分たちの文化を語りたいというメンタリティがあり、それが時代劇がウケる背景だと思います。


中国は長い歴史があり、時代劇は作家としてもアピールしやすいテーマも多いです。例えば「孫悟空」などはヒーローになりやすく、しかもアメリカのスーパーマンとは違う中国独自のヒーローという意味合いが強いと思います。学校でも、中国の文化については多くを教えています。ただし、今後は現代ものや未来ものも増えると思います。


中国でウケるよいストーリーの要素は、三つあると思います。一つは、物語のベーシックなストーリー性を持っていること。もう一つは、理念や愛などの人類共通のテーマかどうか、三番目は、そのストーリーの中に優れた特徴があるかということです。それらが十分に反映されているストーリーが良いストーリーだと思います。


現在考えているターゲットとしては、まず第1に中国国内です。やはり中国マーケットで安定した成績を収めたいと思います。ITの発展により、スマホの台頭でTVのように時間や場所に縛られないコンテンツの消費状況を生み出しています。時間が自由になることは、例えば電車の中や誰かを待っている時や、様々な隙間時間でコンテンツを消費してもらえる可能性があります。


Bilibili動画がやっているように、コンテンツのファンたちがコミュニケーションを行うことで、そのファン同士のコミュニケーション自体が楽しめる時間となり、そのことも中国のコンテンツの進化に大きな影響を与えています。


日本とのコラボレーションの可能性としては、日本にはコンテンツの制作委員会というよい手法がありますが、これからは日中での制作委員会が機能するようになり、その後さらに日中の共同制作が発展する可能性があります。制作も日中で行うとか、日中両方の良いところを活かしたコラボがあると思います。


日本の良いところは、第1に長い歴史を持っていてコンテンツ制作の体系化がされているところです。第2は、人材がそろっていること、高い能力を持っていることです。第3は、日本ではアニメ産業自体が下降線をたどっていて飽和状態ですが、我々は大きなマーケットを持っているので、業界に対してwinwinの関係を中国とのコラボでやることが可能なのではないかと思っており、その可能性がまだまだあるということです。




(匿名)
中国Web小説プラットホーム会社  コンテンツ責任者

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