特集記事
───「お酒を飲まない人にもウコンを身近に感じてもらえるノンアルコールドリンク CRAFT POTION/クラフトポーション ...
昭和を代表する観光地だった熱海は、首都圏から近く、昭和レトロブームの後押しもあり、今や人気観光スポットになっている。一方で、居住者が少ない典型的な観光地のため、パンデミックによる影響も非常に大きかった。まさに渦中の2021年、PROJECT ...
映画を観に行くことは、いつだって特別な体験である。でも、それを提供する映画館は時代に合わせてアップデートしているだろうか?パンデミックはその勢いが収まっても、確実に人々の生活スタイルを変化させた。配信サービスの充実もあり、鑑賞スタイルは多様化している。老舗ミニシアター閉館の報せも聞こえてくるなど映画館業界への逆風は強まるばかりだ。
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新型コロナウイルス感染症の症状の一つに嗅覚障害があった。匂いを嗅ぐという行為は、嗅覚が敏感な人や匂いフェチな人を除き、普段、あまりに何気なく行っているため意識する機会は少ない。
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BOOKS
『ラグジュアリー産業 急成長の秘密』
ピエール=イヴ ・ドンゼ 著 有斐閣
日本人が欧米ブランドに触れたのは70年代。馴染みのブランドの数々だが、市場・企業・ストーリーもすっかり大変貌を遂げている。著者は、日本在住のスイス出身の経営史学者で、時計産業を起点にしたラグジュアリー産業全般についての数多くの著作がある。そのエッセンスが詰まった書籍である。
第一部では、グローバル市場の変化と、企業の競争優位性、ブランドマネジメントが論じられる。フランスの革製品の輸出データをみると1974年には5%に満たなかった日本への輸出は1990年代には30%を超えるまでに増大したのだが、近年5%以下に縮小している。中国市場の拡大が背景にある。
巨大な新興市場への素早い進出を可能にしたのが、コングロマリットの財務と経営の複合体、そして、ブランド・ヘリテージにもとづく価値創造のマーケティングであった。レバレッジを効かせた超グロース志向の投資を行うと、見返りとして、高い成長率と収益性の維持が求められる。販売側の成長ドライバーが、ブランドである。
ストーリーというと、日本人には胡散臭く聞こえるかもしれない。歴史教育にはうんざりしている中国の消費者もフランスの歴史物語など特に興味がないだろう。著者も、この点を直截的に指摘し、ディオールの例を挙げ、発表当時は懐古趣味として非難された「ニュールック」が、いかに、革新的価値創造の騎手として再創造されたのか、という視点から、一歩踏み込んだ議論をしており、傾聴に値する。
欧米企業といっても、コングロマリット経営に卓越しているのは、LVMHとケリング、リシュモンである。第二部では、イタリアの独立系企業、工業グループ、地域に根差した企業など、多様なプレイヤーが紹介されるが、なぜフランス(そしてフランス語圏のスイス)にだけコングロマリットが成立しえたのか、比較経営史的にも非常に興味深い材料が豊かに提供される。
筆者は、90年代に話題となったLVMHの持ち株構造の議論や、のれん資産の減価償却に関する国際会計基準の議論を思い出した。ブランドを実体的な資産と認識するフランス的な制度により、自己資産比率を高く維持し、持ち株構造と合わせて、レバレッジを何倍にも利かせられる。その帰結に改めて目を見開かれた。
日本のブランドは何が学べるだろうか。終章にある著者の解題を楽しみにされたい。
Recommended by 一橋大学大学院 経営管理研究科 教授 山下 裕子
『Slowdown 減速する素晴らしき世界』
ダニー・ドーリング著 ...