このページを印刷

スポーツと支える筋力

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2019年1月号『スポーツ2019 2020』に記載された内容です。)


スポーツ音痴でも楽しめる!スポーツビジネス先進国、アメリカ

2020年に控えたオリンピック・パラリンピックを前に、スポーツビジネス先進国、米国でみてきたスポーツ音痴でも楽しめる米国スポーツ産業の一端と、どのスポーツをするのにも欠かせない筋力をつけるための筋トレが日々の生活を楽しく送り、仕事をする上でもメリットだらけというお得情報をお届けします。


約900億円の経済効果を生むUSオープン
スポーツは観るのもやるのもさほど興味がないのですが、錦織圭選手ファンの父の影響から、数年前からテニスの試合観戦を楽しむようになり、せっかくNYに住んでいるのだから、USオープンに行ってみようと軽い気持ちで足を運びました。


ところが規模感に圧倒され、後で調べてみると、それもそのはずUSオープンが開催される2週間の間に毎年70万人前後の来場者が訪れ、NY市に約900億円の経済効果を生んでいるというから驚きました。


USオープンを運営する全米テニス協会(USTA)のチケット売上、スポンサー料、放映権などによる総収入も50周年を迎えた2018年は$350 Million(約380億円)に成長したとも報じられています。驚きはここ7年で$124Million(約130億円)増の急成長を見せていることです。


私が驚き、考えさせられた一因は、その錚々たるスポンサー陣の顔ぶれにもあります。American ExpressやCHASE、Emirates Airline、J.P.Morganなどの大型スポンサーに加え、Rolex、evian、IBMなど、そして、オフィシャルサプライヤーにはTifanny & Co.や Lavazza なども。


長年 New York Fashion Weekのスポンサーを務め、数年前に降板したMercedes-Benzも名を連ねており、ファッションがイメージ戦略の主流ではなくなった時代の流れを感じさせられたからです。


Forbes Japanによると2014年USオープンの観客の平均世帯収入は16万1,000ドル(約1,800万円)。80%が大卒以上の学歴の持ち主で、男女比は43対57と大規模なスポーツイベントには珍しく女性が多いそうです。


全米テニス協会の経理部門の責任者であるルー・シャー氏は、「エミレーツ航空やラバッツァといったブランドは、テニスを世界中の裕福で教養のある男女にアピールできる場だと認識しています」と話していたそうですが、確かに経営者にトライアスロンにハマる人が多いなど富裕層へリーチしやすいスポーツジャンルは存在します。


ニューヨークシティマラソン
富裕層という話が出ましたが、NYのスポーツといえばニューヨークシティマラソンのシステムがユニークです。ニューヨークシティマラソンに参加する方法ですが、ツアーや東京マラソンのように寄付金を払って参加する以外にも、New York Road Runnersに9大会以上参加し、大会ボランティアを1回経験または千ドル寄付した人という枠があるのをご存知でしょうか。


この枠を設けることで、仮にニューヨークシティマラソンに出場するためであっても、他の大会にも参加を促し、活性化に繋がるとても良い取り組みです。東京マラソンも寄付金などの仕組みを見習うだけでなく、このような仕組みを取り入れることでオリンピック・パラリンピックに向け、スポーツムードを盛り上げられるのではないでしょうか。


筋トレの魅力
私はまだまだフルマラソンは無理ですが、身体を動かすことの楽しさも大人になって少しずつわかってきました。そして、近年、私のようにスポーツに全く縁がなかった友人たちも、パーソナルトレーニングから始まり、運動の魅力に目覚めたり、はまりだしている今日この頃。


友人曰く、筋肉は心を守る鎧ののようなもの、筋肉があることで精神の防御力は高くなるし、落ち込んだ時にも回復が早くなるよ、と。別の友人は、筋トレは裏切らないよ。年齢問わず、筋トレは続ければ、絶対に体が変わるから、始めようと思った時こそ始めどきだから、と。確かに続ければ確実に成果の出るものというのは、試し甲斐があるし、特別な道具もいらないのだから始めない理由はないですよね。 


そんな魅力的な話ばかり聞くので、少し筋肉や運動の効果について調べてみました。筋肉をつけることはいいことづくめで、肉体はもちろん、精神、そして脳(記憶力)にまで及ぶそうです。2011年にアイルランドのダブリン大学で行われた実験によると、運動をすることで記憶力が向上するという結果が出ているそうです。


これは、脳の活動を支えている栄養分であるBDNF(脳由来神経栄養因子)の脳内濃度が運動をすることで上がることと関係しているそうです。適度な運動はBDNFを増やすとともに、記憶の定着を促す「ノルエピネフリン」という神経伝達物質も分泌されるそうで、記憶だけでなく学習などのパフォーマンスを高めることも既にわかっているそうです。


さらに、この「ノルエピネフリン」には思考の柔軟化や意欲増大といった働きもあるそうで、仕事や勉強に関わる物質がこんなに沢山分泌されると聞いたら、やらなきゃ損!


筋トレをすることによって、集中力やリスクを取る判断をすることなどの高次精神機能や若返りにも関係すると言われる(男性だと女性を惹きつける効果もあるそう)テストステロン、幸せホルモンとも呼ばれ、落ち込んでいる気分を盛り上げて幸せを感じさせてくれ、ストレスの解消やうつ病の予防に効果的とも言われているセロトニン分泌が促進されるそうです。


それにより、減退していた食欲や睡眠欲が回復されるということ。疲れすぎて眠れないという経験がある人はそんな時こそ少しの筋トレ、オススメします。2018年末から始めた筋トレ、今年は私もすこしずつ続けてみようと思っています。


肉体的な効果はもちろん脳にも効果のある脳トレにもなっているという一石二鳥の筋トレのように、今年はコツコツ続けることを大事に、インタビュー中心の執筆もライフワークとして新たに始動しようと思います。平成最後の年始め、あなたも何か新たに継続することをはじめてみてはいかがでしょうか。



吉田 けえな(よしだ けえな)ファッション、ライフスタイル、コミュニケーションディレクター
フリーランスのファッションコーディネイター&マーケティングディレクター。
PR会社や百貨店のコーディネーター、雑貨ブランドのディレクター兼バイヤーなどを経て、渡米。NYを拠点に欧州などを飛び回り、年間数百を超えるショップへ足を運び、バイイング及び見て、着て、食べた、リアルな視点を大事にした情報を発信。現在は、一時帰国し、商業施設のプランニングアドバイザーやポップアップショップの企画立案、デザインイベントの立ち上げに携わる。

このアイテムを評価
(0 件の投票)
コメントするにはログインしてください。

関連アイテム