アーンド・インフルエンスとペイド・プロモーション その差異

デジタル・インフルエンサー・マーケティングは、切れ味の悪いツールになりつつあります
マーケティングとPRの世界では、信頼性の高いROI測定の手法がつねに重要な課題となってきました。

「広告費の半分は無駄になるもの。問題は、どちらの半分が無駄になっているのか知るよしがないことだ。」マーケティング界の先駆者ジョン・ワナメーカーがこの名言を口にしてから、100年を超える月日が過ぎました。そして多くの場合、PR効果の数値化は、広告よりもさらに難しい課題とされています。

 

最新の口コミ戦略として、ソーシャル・チャネル上で高いリーチと広いネットワークを誇る個人に対価を支払い、ブランドプロモーションを依頼する「インフルエンサー・マーケティング」があります。

 

実際に成果のある戦略として、この手法を採用するブランドも急増しています。MtoM Consulting社でチーフ・オペレーティング・オフィサーをつとめるTracey Harrington McCoy女史がビジネス誌Forbesに寄稿した記事によると、60%を超えるブランドが、すでにこの戦略を投入しており、さらに2017年末までには75%に達する見込みだと言っています。

 

しかし一方で、ブランドが求めるプロファイルを備えたインスタグラマー、ブロガー、ユーチューバーたちが要求する対価はかつてないほど高額化しており、レートの高騰にともないROIの実証も困難になり、結果的に業界全体にこの戦略に対する懐疑的な見方が広がりつつあります。業界関係者の多くが、インフルエンサー・マーケティングは、すでにツールとしての切れ味を失ったとみています。

 

より的確なリサーチと目標設定、より現実的な効果予測を取り入れない限り、この先インフルエンサー・マーケティングの有効性は、ますます低下していくことになるでしょう。


結果の出るインフルエンサー・マーケティングの鍵とは
インフルエンサー・マーケティングを成功に導くためには、下記の問いに答を出しておくことが必要です。
●ペイド/アーンド/シェアード/オウンドの各メディアを組み合わせたPESOモデルの中で、インフルエンサー・マーケティングの位置づけは?
● インフルエンサーとしての価値を提供するため、個人に求められるリーチ/レレバンス/レゾナンスの適正なバランスとは?
●データ分析によりプロモーションインパクトを高める方法とは?


プロモーション活動におけるデジタル・インフルエンサーの存在は、ソーシャルメディアとデジタルチャネルの統合と一体化という広義の業界トレンドの一環として重視されています。こうしたトレンドの具体例として挙げられるのが、データ主導型のマイクロ・エンゲージメントや、複数のチャネルを串刺しにしたストーリー・テリングなどの手法です。

一方で、ブランドの初期認知から口コミ情報の吸収、購買の検討、製品とサービスの実体験、そして最終的にはポジティブ/ネガティブな口コミの発信にいたるまで、カスタマージャーニーの道筋は、ますます複雑化しています。マーケティング/コミュニケーション担当者ならば、ブランドの忠実なサポーターとして多くのユーザーと情緒的なつながりを構築できるインフルエンサーの発見と育成に望みをかけたくなるのも当然です。


ソーシャルメディアのオーガニックな影響力
とはいえこうした戦略は、大規模な影響力を持つペイド・プロモーターではなく、ソーシャルメディア上で影響力を持つインフルエンサーを活用するオーガニックなマーケティングモデルです。PESOモデルでは、「ペイド+シェアード」のかわりに「アーンド+シェアード」を組み合わせる手法。言いかえれば、リーチ、パブリシティ、セレブリティといった要素のかわりに信頼と親密さをベースに醸成された影響力なのです。


ポリティカル・マーケティングにみる教訓
2016年6月、英国のEU離脱をめぐる国民投票、続く11月の米国大統領選。ふたつの政治イベントで予想外の結果を生んだ要因の少なくとも一翼を担ったのが、スマートかつ革新的なデータ・アナリティクスの活用でした。公開されているデジタルフットプリントをもとにターゲットとなる有権者をプロファイリングした後、その心理的プロファイルに合わせた政治メッセージが作成されたのです。


ビッグデータを超高速で処理するデータクランチャー・システムの導入が、実際にどの程度の効果を発揮したのかは不明です。

 

しかし専門家たちが共通して指摘するのは、ペイドメディアのプロモーターやインフルエンサーを通して獲得したリーチは、嗜好の似た個人の集まりから構築されたコミュニティやネットワーク経由のオーガニックなリーチよりも影響力の点で劣っている、という事実です。つまり「影響力(インフルエンス)」とは、人間的かつ社会的な現象であると理解するべきです。

 

実体のあるリーチは、買う(ペイド)のではなく、獲得(アーンド)しなければなりません。だからこそ、アーンドメディアへのリンクが功を奏するのです。まさにマーケティングの影響力を語る際に、専門家がひんぱんに言及する3つの「R」:リーチ(reach)、レレバンス(共感)、レゾナンス(同調)なのです。


一貫性のある体系化したリサーチの重要性
レクシスネクシスでは、この3Rのコンセプトに改訂を加え、下記の5つの次元にもとづいて影響力の追跡と分析を行っています。

 

一定期間にわたり膨大なデータを収集し、特定のコンテキストの中から特定のコミュニティをクローズアップすることにより、ひとつのネットワークの中で大きな影響力を持つ意見を掘り起こし、プロファイリングする。この作業プロセスは、ある意味で、ビッグデータのアプローチと共通するものです。

 

5つの次元から得たデータを一体化することにより、やがて包括的なインサイトが見えてきます。多くの場合大きな影響力を持つインフルエンサーは、下記のうち1つまたは2つの項目で傑出した存在であるのみならず、その真価は5つの次元すべてを網羅して累積された影響力を通して発揮されています。


https://communicateonline.me/opinion/the-difference-between-earned-influence-and-paid-promotion/

 



 
【訳】
・レレバンス(relevance:関連性)
その人物は、対象となる話題に焦点を当てていますか?

・クレディビリティ(credibility:信頼性)
その人物のプロファイルは、広範な伝達力を発揮できますか?

・コンジステンシー(consistency:一貫性)
その人物は、対象となる話題に関して、どの程度の頻度で/どの程度の内容を伝えていますか?

・エンゲージメント(engagement)
その人物のコンテンツに、どのような人たちが、どの程度の興味を示していますか?

・ネットワーク(network)
その人物は、他のインフルエンサーたちと、どの程度のつながりを構築していますか?


「90:9:1法則」の適用
一般的に、オンライン上の行動は、大多数の「消極的ユーザー(passive user)」と少数の「熱心な情報伝達者(engaged sharer)、さらに小規模の「積極的なコンテンツクリエイター」に分類されます。これが、いわゆる「90:9:1の法則」として知られるマーケティングモデルです。


インフルエンサーに関する分析は、この3つのグループの行動のきっかけとモチベーションを理解する手助けとなり、ソーシャル・エンゲージメントを効果的に実施する上での基礎となります。
●90%を占めるROMたちは、どんなコンテンツを利用し、検索しているのか?
● 9%の投稿者たちは、どんなコンテンツを共有し、好んでいるのか?
●1%のクリエイターたちは、どんなコンテンツを作成しているのか? どんな人たちとつながっているのか? どんな人たちから影響を受け、どんな人たちに影響を与えているのか?

こうした分析を通して理解を深めながら行うデジタル・インフルエンサーのマネジメントは、個人に対価を支払ってリーチを買う戦略とは大きく異なります。

これは、カスタマージャーニーのステップごとに、メッセージのコンテキストとその執筆者たちを考慮に入れながら実行していくリサーチ&データ主導型のアプローチなのです。

上記内容にも触れたレクシスネクシス・ジャパンの無料セミナーを10月31日に開催致します。下記ご参照ください。

正しいマーケティング戦略には、正しい情報を。“How to combat FAKE NEWS”


レクシスネクシス・ジャパン株式会社
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