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Uberの利用の仕方と見習うべきポイント

「Uber(ウーバー)」とは、IT関連の仕事に携わる人は知らない人はいない、シェアリングエコノミーを代表するスタートアップで知られる自動車配車ウェブサイト及びアプリである。

現在NYに住み、アメリカ国内及びヨーロッパや日本を行き来しながら生活する私にとってUberアプリは出張に欠かせない存在になっている。日本でも2014年3月に本ローンチしているが、タクシーサービスのクオリティが高く安定している為か、金額が高いこともあるからか一部報道で取り上げられてはいるものの、一般にはあまり知られていないということを日本出張時に知り驚いた。もちろんホライズン読者の方々は知っているだろうし、出張時に使用している人も多いと思う。後発のLyft、NYではGettなど追随サービスも出てきているなかでサービススタートから7年で時価総額520億ドルを超えるUber。Uberの人気の秘密と共に、インバウンド需要で日本でも拡大するだろう需要について今回は使用実例と共にご紹介する。


Uberの登録方法及び使い方は非常に簡単、まずはスマートフォンでアプリをダウンロードし、名前やメールアドレス、電話番号、クレジットカード情報などを登録するだけである。あとはネット接続環境さえあれば、世界54カ国250都市以上で使用可能になる。さらに利点はGoogle Mapとも連動していることでもある。これまではGoogle Mapに行き先をいれると、電車の乗り換えルートの1番下に写真1のように、広告でUberの概算見積もりがでそれをタップするとUberアプリが起動するという形式だったが、現在ではさらに進化し、写真2のようにルート検索の時点で車、電車・バス、徒歩、自転車に並び、広告でUberルートと各クラスの簡易見積もりが表示されるようになった。車のランクを決め、タップすると乗車場所を設定をタップするだけでドライバーが迎えにきて、ドライバーが私の名前を確認後、後は目的地まで運んでくれる。Uberの登場により英語やその他の言語が話せなくても、世界の主要都市であれば簡単に目的地にたどり着くことを可能にしてくれた。
 

私自身は日本に帰るとUberよりタクシーを使用する機会が多いが、流しているタクシーの数が多いことと日本語が話せるからである。英語を含めた外国語に対応する運転手が少ないだけではなく、NYやパリ、ロンドンと違い、未だナビを搭載しない車があったり、運転手に伝えただけでは目的地にたどりつくのが困難な日本の住所配置の規則性からナビに入力が必要になることを考えると、このGoogleMapと連携したサービスの利便性は外国人観光客にとってなくてはならない存在だろう。


さらにUberの凄まじい勢いの進化は、各都市毎に必要な属性に対応している点だ。例えば、自転車フレンドリーな街として知られるポートランドに行った際のことだが、Uber Pedalという見慣れない表記を目にした。そこで調べてみると自転車を載せるラックがついたUberをリクエストできるサービスで、シアトル、ポートランド地区にローカライズされたサービスだった。NYではタクシーが呼べるTというサービスやPoolという乗車エリアと目的地のエリアが近い人たち同士がシェアして安く移動できるサービスやRushと呼ばれるメッセンジャーサービス、さらに、LAなどではAccessという車椅子など追加のサポートが必要な方に対応するサービスもはじめている。


全世界で規制違反やドライバーによる犯罪等が注目を集める一方、Uber創業のきかけがCEOのトラビス・カラニック氏がパリでタクシーを捕まえるのが困ったことだったように、GoogleMapと連携することでより簡単に利用しやすくしたり、既存サービスに加え都市毎にこんなことができれば助かるというサービスを次々取り入れたり、利用者が運転手をダイレクトに評価したりと、利用者視点でのサービスを改善しようとする姿勢が垣間見える。この顧客視点でサービスが考えられている点が、各国で法律や規制と戦いながらも、スタートからわずか7年で世界54カ国250都市で展開する勢いに繋がっているのではないだろうか。2020年に向け訪日者の増加を考えた時や、各都市や各国での展開を考えた時にUberの手法から学ぶことは多いと感じる。



吉田  けえな  (吉田  けえな) 
NY U.S.A.在住。ファッションコーディネーター&マーケティングディレクター。マーケティングホライズン編集委員

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