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選択肢過多

Last-modified: 2012-07-15 (日) 15:02:52 (1476d)
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カテゴリープロモーション戦略購買行動・心理
選択肢過多(Choice Overload)

 選択肢過多とは、選択肢が増えれば増えるほど、選択することが難しくなってしまい、迷いやストレスの原因となってしまう現象。

 製品の種類を豊富に揃えることは、顧客の買い物の選択肢を広げ、選ぶ楽しみや買い物の自由を提供することにつながる重要な施策である。
 しかし、選択肢を増やし過ぎて、選択肢過多となってしまうと、結果として顧客の購買行動の負担となり、売上に結びつかない場合もある。

 選択肢が購買行動に与える影響を調べるために、スタンフォード大学のマーク・レッパー(Mark Lepper)とコロンビア大学のシーナ・アイエンガー(Sheena Iyengar)が行なった有名な実験がある。
 スーパーマーケットでジャムを試食した顧客に割引クーポンを渡すという特設ブースを作り、ある週末には24種類のジャムを、別の週末には6種類のジャムを並べて、購買行動の反応を調べるという実験を行った。
 24種類のジャムが並べられているブースでは足を止めた顧客の60%が試食したが、そのうち3%しか購入しなかった。6種類のブースでは40%しか試食しなかったが、そのうち30%近くが購入したという結果が出ている。
 この実験によって、選択肢過多という現象が実際に存在し、選択肢が多すぎると購買意欲が低下してしまうということ、そして、選択肢は多過ぎないようにある程度限定した方が購買に結びつきやすいということがわかる。

 選択肢過多によって、購買意欲が低下してしまう理由については、いくつかの要因が考えられる。

 1つ目は、大多数の人は全ての可能性を比較検討するだけの能力を持ち合わせていないということである。
 人間の短期記憶に関する「7±2の原則」(マジカルナンバー7)という、新規に与えられた情報を5つから9つしか頭の中に留めておくことができないとされる原則がある。
 一度に覚えられる限度を越えて、情報処理が困難となってしまうと顧客が疲れてしまい、購買行動自体を拒絶するようになってしまうことが考えられる。

 2つ目は、選択肢過多によって評価の形成が難しくなり、参照に足るだけの基準ができないということである。
 顧客は購買において、失敗しないように具体的な情報を収集し製品比較を行う。
 選択肢が多いブースで試食が増えるのは、味見という情報収集方法により製品比較を行っているためだと考えられる。
 選択肢過多で比較対象の数が多ければ多いほど、評価基準が曖昧になりやすく、品質評価の自信が揺らいでしまい、結果として購買を見送るという判断が為されていると考えられる。
 反対に、選択肢が限定されている場合には、既に購買を決めつつある製品の良し悪しを確認するための最後の一押しとして試食が行われ、購買に結びついていることが考えられる。

 3つ目は、切り捨てなけらばならない他の選択肢が多いと心理的負担も大きくなるということである。
 沢山の選択肢の中からひとつを選ばなければならない場合、購買後に他の製品の方が良かったかも知れないと後悔したり、他人やクチコミの評価などで他の製品の方が高評価であったりした場合に後悔する可能性が高くなる。
 比較対象の数が多ければ多いほど、認知的不協和と呼ばれる心理的ストレス状態に陥りやすくなってしまう。

 選択肢過多によって、顧客の購買行動に負担をかけてしまっている場合には、選択肢を削減することが、製品判断の簡略化につながり、結果として購買促進につながる可能性もある。
 顧客の買い物の自由や楽しみを損なわず、選択肢過多にもならない程度のバランス感覚が重要となる。

 また、近年ではWebやモバイルの発達による情報増大によって、選択肢過多が引き起こされやすくなり、人々の意思決定にも変化が表れてきている。
 選択肢が増えて選ぶことが困難になっただけでなく、これまで知り得なかった情報を知ってしまったことで、自分の身の回りで起こる出来事や現状に満足できなくなり、理想的な選択肢を探し求め続ける「青い鳥症候群」や、現時点での決断を避けたり、自ら考えることをやめて大多数と同じ採用をするといった「選択の放棄」が起こりやすくなった。
 選択肢過多による決断・判断・意思決定の変化は、消費離れ、無趣味化、無個性化、恋愛離れ、晩婚化、ニート、就職浪人、転職渡り鳥、といった社会現象との関わりも深い。


⇒認知的不協和

⇒マジカルナンバー

⇒STP

⇒購買意思決定プロセス

⇒同調現象